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DDA交渉の決裂で韓—EU間FTAが急浮上

DDA交渉の決裂で韓—EU間FTAが急浮上

Posted July. 31, 2008 03:17,   

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妥結するものと見られていた世界貿易機関(WTO)・ドーハ開発アジェンダ(DDA)の交渉が決裂し、韓国が推進している欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA)交渉が急速に進むものとみられている。EU執行部は、多国間交渉に代わる二国間交渉を実現の必要性が高まっている。韓国はEUとのFTAを通して、国際通商の主導権を確保し、韓米FTAの批准を急ぐよう、米議会に圧力を加えられる。これを受けて、少数の中心的な争点を巡り、交渉が難航していた韓—EU間のFTA交渉は、両側の「ビックディル」を通じて、年内に妥結する可能性が高いという見方も出ている。

●DDA決裂でFTAへと移動

韓—EU間のFTA交渉は、「年内に交渉を終える」という5月の両側の合意とは異なり、最近まで目立った進展は見られなかった。当初、EUは韓米FTAにより、韓国市場への主導権を米国に奪われることを懸念し、韓国とのFTAを急いできた。しかし、韓米FTA協定文の批准が遅れ、EU側に余裕が生じたのだ。さらに、EU執行部がDDAを主導したことで、韓国とのFTAが通商政策の優先順位から後回しにされた側面もある。

しかし、7年ぶりの暫定合意案までまとめたDDA交渉が、合意案をまとめてから4日後29日(現地時間)決裂し、状況は急変した。

DDA農産物や非農産物分野を議論するため、集まったWTO主要国通商閣僚会合で、途上国の緊急輸入関税(SSM、農産物の輸入量が急増すれば、追加関税をかける制度)の発動要件の緩和を巡り、先進国と途上国との意見が食い違いで、細部にわたった原則の最終合意には至らなかった。DDAの交渉内容が今後も暫定案から大きく変わることはないと見られるが、少なくとも時期的には2、3年引き延ばされる可能性があるというのが、専門家らの見方だ。米大統領選挙(11月)やパスカル・ラミWTO事務総長の任期の満了(来年8月)、EU執行部の交替(来年11月)やインド総選挙(来年5月予想)など、主要国の政治日程に押される可能性が大きいためだ。

このような中、EU執行部としては多国間交渉の失敗を挽回するため、二国間交渉の成果を示さなければならないという負担が増大し、韓国とのFTAに積極的に乗り出すものと見られるというのが政府の判断だ。

外交通商部のある関係者は、「韓国とのFTA協定の締結を巡り、米国とEUが競争関係にあるだけに、韓国としては米議会での韓米FTA協定文の批准に圧力を加えるためにも主導的に韓—EU間のFTA交渉の拍車をかける必要がある」と話している。

●自動車、技術標準に接点を見出せず

しかし、韓国とEU間のFTAが突破口を見出すためには、両者の意見が平行線を辿ってきた争点を解決しなければならない。EUは韓国に輸出する自動車に対する安全基準などを巡り、EU技術標準の適用を要求している。韓国へ輸出する自動車に、韓国の技術標準を適用した場合、それだけ生産コストが上がるという説明だ。しかし、韓国は韓米FTAで、米国が韓国へ輸出する車のうち、韓国での販売台数が6500台未満の輸入車メーカーに対してのみ、米国基準を使用できるようにした前例を挙げ、反対している。

原産地の判定基準を巡る異見も平行線を辿っている。EUは、「イタリアでデザイン、東欧で製造、ドイツの会社が販売する」形態の国家間分業を行っても、域内で付加価値を創出したものと認められる。

一方、韓国はほかの国で完成品を製造し、輸入する域外分業が多く、その分だけ関税削減の対象が減り、損失をこうむらざるを得ない。このため、一定の品目については例外的に、「域外での加工」を認めてほしいと要求している。

●妥協点を見出すためにマクロ的な視点で接近すべき

EUは、人口5億人、国内総生産が14兆ドルに達する世界最大規模の市場だ。韓国の主要輸出品について、EUでは比較的高い関税を科しており、輸出拡大の効果が大きい。

LG経済研究院の金ヒョンジュ研究委員は、「韓—EU間のFTAは、市場開放で手にするメリットが一部の品目の損失規模より大きい」とし、「FTAの目標等は究極的には『保護』ではなく『開放』であり、市場開放に重点を置く前向きな姿勢で交渉に臨むべきだ」と語った。

鄭仁𨥉(チョン・インギョ)仁荷(インハ)大学経済学部教授は、「米国とEUはFTAの主導権を巡り、相手をけん制する様子を呈しているので、このような側面を適切に活用できる」とアドバイスした。

一方、政府はインドとのFTAの「韓−インド間の包括的な経済パートーナーシップ協定(CEPA)」の交渉を年内に妥結することを決めるなど、ほかの国との二国間交渉にも積極に乗り出す方針だ。

安豪榮(アン・ホヨン)外交通商部・通商交渉調整官は30日の定例ブリーフィングで、「インドとの10回にわたる公式交渉を通して、協定文は詰めの段階を迎えており、現在、残りの争点を巡る交渉が行われている」とした上で、「年内の交渉妥結を目標としている」と明らかとした。



havefun@donga.com bae2150@donga.com