Go to contents

[オピニオン]「オールイン」

Posted January. 23, 2005 22:52,   

한국어

「オールイン(All-in)」は、「全てをかける」という意味の賭博用語だ。以前、ある放送局のドラマ「オールイン」で世間に広く知られるようになった。オールインと言えば、思い浮かぶのが約30年前の空前のヒットを記録したハリウッド映画「スティング」である。名優ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードが主演したこの映画で、2人の主人公は大物悪党を賭博に引き入れ、巧妙に裏をかく。全てをかける極端なオールインの心理学がうまく描写された映画だった。

◆オールインの心理が表出されるのは、単に賭博だけではない。個人や国家の命運をかける時にも、しばしば「オールイン的」思考が表れる。中国の漢の時代、名将・韓信が趙との争いで使ったという戦略「背水の陣」や、秦との争いで項羽が使った「破釜沈舟(釜をこわし舟を沈める)」、つまり炊事の釜を壊し、川を渡る舟を沈めるという戦略は、いずれも「死生決断」の覚悟で戦争に臨むオールイン的思考である。韓国にもシン・リプ将軍が壬辰倭乱(文禄・慶長の役)で背水の陣を敷いた末、戦いに敗れて自決したことや、李舜臣将軍が「必生則死必死則生」の精神で勝利を収めた死生決断のエピソードがある。

◆盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が「経済オールイン」を宣言した。これまで、社会の底辺にまで及んだ経済不況に対して現実認識を拒否するような態度を取ってきた大統領が、一足遅れてその深刻さを悟って対処に乗り出したと見ることができる。このような態度に多くの世論は好意的だ。恐らく先日の海外歴訪の際、イラクに派兵された韓国将兵を激励訪問したことに対する拍手の次に大きな評価だろう。

◆ブッシュ米大統領も就任式で、自由(liberty)にオールインを宣言した。全世界の圧制国家をターゲットにした強気の一手だ。しかしオールインは出し惜しむほど価値が上がる。一生に一度、一政権が一度使う程度でなければならない。韓国政府が南北首脳会談にもオールインすると言わないことを望む。

玄仁澤(ヒョン・インテク)客員論説委員(高麗大学教授・政治学)ithyun@chol.com