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NVIDIAの現場で見たAIチップ戦争

NVIDIAの現場で見たAIチップ戦争

Posted March. 25, 2024 08:41,   

Updated March. 25, 2024 08:41

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「テイラー・スウィフトのコンサート会場みたいじゃないですか」

隣に座っていた米国人記者が声をかけた。NVIDIAのジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)の基調講演を待っていたところだった。ここは18日、NVIDIAの開発者イベントの開幕を告げる基調講演が行われた米サンノゼのSAPセンター。ナショナルホッケーリーグ(NHL)地域選手団の本拠地である会場の約1万1千席が埋まっていた。ジャーナリスト、金融アナリスト、産業アナリスト、展示協力会社のエンジニアなど、それぞれ数百人ずつグループ別ゾーンに分かれるほどだった。

テック企業の開発者向けイベントは、文字通り、開発者や協力会社に「私たちはこのような技術を出せるので、それに合わせて作りましょう」という趣旨のイベントだ。アップルCEOだった故スティーブ・ジョブズ氏が2007年にiPhoneを公開した後、開発者イベントがより大衆的な新製品公開の場として進化するきっかけとなったが、今回のNVIDIAのイベントの熱気は独特だった。

データセンターのサーバーの中に隠れていて、消費者は触れることもない半導体新製品のイベントに対する熱い関心とは。ファン氏が次世代AIチップ「ブラックウェル」シリーズの実物を持ち上げ、約1万1千人が同時に拍手するのを見て、半導体がAIのスーパースターとして台頭していることを感じることができた。米ウォール街が今回のイベントを伝説的な音楽祭に例えて「AIのウッドストック」と名付けたのはそのためだろう。

「スーパースターチップ」の時代が到来したのは、翌日のファン氏の記者会見でも確認できた。主人公は三星(サムスン)電子とSKハイニックスの高帯域幅メモリ(HBM)だった。壇上で質問を受けていたファン氏は、照明のせいで記者の顔が見えないと言って下に降りてきた。台湾系米国人のファン氏は、台湾の記者に会えて嬉しいと挨拶を交わし、台湾のファウンドリTSMCとの深い関係に何度も触れた。手を挙げて順番を待つ時間もないようなので、「三星はどうですか」と無造作に尋ねた。ファン氏は、韓国記者たちのフォローアップ質問も一つ一つ受け、HBMが「世界のデータセンターのメモリーチップを置き換える」とし、「途方もない成長サイクルがやって来る」と何度も強調した。発言から5時間後、韓国株式市場が開場すると、三星電子の株価が5%以上上昇し、AIチップ市場の波及力に驚かされた。

いつものように、市場のパラダイムが急変する時は、順位変動を狙う恐ろしい後発ランナーがいる。NVIDIAがAIチップ生態系の主役となり、時価総額が5年前の20倍ほど跳ね上がり、韓国の国内総生産規模より高くなるとは誰も知らなかった。メモリチップ2位のイメージが強かったSKハイニックスは、HBM市場1位に躍り出た。1980年代、日本と韓国の半導体企業の成長を阻止するために反ダンピング訴訟を乱発し、3位に後れを取っていた米マイクロンも、三星より先にHBMをNVIDIAに供給するための大規模な量産を開始した。

これまでのスーパースターチップのブームは、純粋に民間からの爆発的な成長だ。ところが、米国政府はここに補助金まで投入しようとしている。先日、インテルに対する85億ドル規模の支援を発表し、マイクロンも補助金を待っている。天文学的な補助金をめぐっても、米紙ニューヨーク・タイムズなどの米メディアと米半導体業界は「一過性で不十分」とし、「チップス法2のような追加支援法案が必要だ」とも主張する。半導体国家戦の熱気はますますヒートアップしている。