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病人のお金

Posted March. 20, 2024 08:36,   

Updated March. 20, 2024 08:36

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暗い世界を照らす光のような人々がいる。今はネットフリックスでも見ることができるドキュメンタリー映画「大人キム・ジャンハ」の主人公がまさにそのような人だ。彼は晋州(チンジュ)で漢方薬の店を営みながら稼いだ金を必要なところに分け与えた。自分のように金がなくて学べない人たちに教育の機会を与えようと学校を建て、1千人以上の貧しい学生を大学まで支援し、最終的には財産を投じて建てたその学校を国に寄付した。彼は文化や人権団体に惜しみなく金を与えながらも、名前を出さない。

彼はなぜそのような人生を送ったのか、彼の言葉に答えがある。「私が金を稼いだなら、結局は病気で苦しんでいる人たちを相手に金を稼いだ」。彼の言葉通り、「他の職業を選んでいたら、その金で豪遊し、贅沢な生活を送ることができただろう」。しかし、彼は病気の人たちの財布から出た金を無駄に使うことができず、それを集めて社会に還元した。昨今、世の中のどの医療人が病気の人を相手に金を稼いだからといって、その金を社会に還元しようと思うだろうか。金がすべてと言っても過言ではないほど、すべてが金に左右されるのが現実だ。しかし、ドキュメンタリーを見ると、そんな人が世の中にはいる。「大便は溜めれば悪臭を放つが、ばら撒けば肥料になり、花も咲き、実を結ぶ。金もこれと同じで、周りに分け与えることで社会に花が咲く」と考え、利他的な生活を実践した人がいる。

それでいて、彼は自分に対する偶像化を徹底的に拒否する。自画自賛もせず、集まりでは隅に座る。写真の中の彼はいつも中心から離れたところに座っている。謙虚さが身についているからである。彼が周易の64卦のうち、謙虚になる「謙」が一番好きなのは当然だろう。金が人を傲慢にさせる世の中で、彼は金によってさらに謙虚になった。彼が持っている金は、病気で苦しんでいる人たちを相手に稼いだものだという倫理観が彼を謙虚にした。