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金正恩「統一・同族概念を消さなければならない」、旧東ドイツのような「自滅の道」か

金正恩「統一・同族概念を消さなければならない」、旧東ドイツのような「自滅の道」か

Posted January. 17, 2024 08:23,   

Updated January. 17, 2024 08:23

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北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記は15日、最高人民会議の施政方針の演説で、「自主、平和統一、民族大団結」といった表現を憲法から削除し、韓国を「徹頭徹尾の第1の敵対国、不変の主敵」と見なす内容を明記するよう指示した。また、「戦争が起きる場合、大韓民国を完全に占領・平静・修復して編入させる問題」も反映しろと言った。金総書記は、特に先代の南北合意を否定し、その象徴物まで徹底的にすることを指示し、「わが共和国の民族歴史から、統一、和解、同族という概念自体を完全に除去しなければならない」とも述べた。

金総書記の発言は、昨年末に南北関係を「敵対的な二つの国家」と規定して以来、憲法までそれに合わせて改正することで、韓国との断絶を取り返しのつかない確固たる路線にするという意味とみられる。新年早々、海岸砲の射撃と弾道ミサイル発射のような挑発に踏み切ったのに続き、対南政策とイデオロギー、歴史までを変える路線変更作業に入ったのだ。金総書記は、対南対話機構と宣伝メディアを整理したのに続き、祖父の金日成(キム・イルソン)の「祖国統一の3大原則」の削除、父の金正日(キム・ジョンイル)総書記の対南業績を象徴する「祖国統一の3大憲章記念塔」の撤去までを指示し、先代の遺産にまで手を付けている。

このような金総書記の路線転換は、韓米を同時に脅かす核武装を成し遂げたという自信、そしてロシアとの武器取引などを通じて、新冷戦の有利な局面に入ったという情勢判断の結果だろう。さらに、4月の韓国総選挙と11月の米大統領選挙を控えた今年は、国際情勢の激変期であるだけに、状況を揺さぶる絶好のチャンスという計算も読み取れる。しかし、そのように無謀に見える好戦性の根底には、体制に対する深い不安があることも明らかだ。内部の関心を外部に向ける攻勢こそ、住民の内部不満を遮断するための独裁体制の万能手法だ。

何よりも、金総書記が「統一」や「同族」を消そうとする姿は、旧東ドイツが体制競争で押されると、「ドイツの単一民族論」を否定し、西ドイツと完全に断絶して分断を固着化しようとした自滅的な試みと似ている。東ドイツは、1970年代に入り、憲法改正を通じて、「独自の社会主義民族」を掲げ、西ドイツを最初から「外国」として扱った。「ドイツ(Deutschland)」という単語を使うことさえ憚りながら、統一を念願する国歌の歌詞を無くしたりもした。一方、西ドイツは一貫して、「ドイツ民族は一つ」という原則を固守し、ドイツ統一を追求した。その結果は誰もが知っている。