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[オピニオン]人間の道

Posted July. 11, 2022 14:10,   

Updated July. 11, 2022 15:14

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金素月の詩はなぜ人気なんだろうか。難しくないということが一番大きい。彼の詩は低い目線の詩だ。有識を誇ることもない。しかも素月の詩は、ありふれた感情を取り扱う。別れを知らない人が何人いるだろうか。苦しくても我慢していた人はどれほど多いことだろうか。それだけじゃない。素月の詩はなんとなくすらすらと読める。繰り返しが多いようだが退屈じゃないし、似たような言葉だがニュアンスは新しい。

「ツツジの花」「行く道」「遠い後日」など名作と知られた素月の作品がすべてそうだ。これらの作品には共通点がもう一つあるのだが、それは起承転結の4連で構成されていることだ。この構造は、起承転結のように固く閉ざされた完全さを感じさせる。安定感を与えるということだ。

今日紹介する作品も4連の構成となっているが、詩人はこれに一つの装置を追加した。それはデカルコマニーのようなタラだ。1連ではクジラ、ゴカイ、タヌキなどが一つずつ登場し、3連では一つずつ消える。2連では猫が捨てられ、4連では人間が捨てられる。その流れと対比が私たちの視線を虜にする。ついには心と考えさえも捕らえていまう。

これは特別な技法ではないが、そもそも単純な基本が一番難しくて重要だ。基本を巧みに生かした実力は魅力的だ。しかも、詩のメッセージもやはり最も単純で難しく重要な基本に向かっているのではないか。じっくり吟味するのに格好の作品だ。

文学評論家


ソル・ジョンヒ記者 s24jeonghee@donga.com