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韓中の学者が見た中国のコロナ対応

Posted May. 01, 2021 08:03,   

Updated May. 01, 2021 08:03

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大規模な人災には必ず「内部告発者」が伴うものだ。社会システムの欠陥とかみ合った大規模な感染症事態も同様だ。中国の武漢で新型コロナウイルス感染症が急速に広がり始めた当時、医師の李文亮がこの役割を果たした。

中国当局が正体不明の「奇病」の流行を隠すのに汲々としていた時、彼は世間にこれを初めて知らせたが、公安に連行され、ひどい目に遭った。腐敗した社会と正義ある個人という二項対立構図は、このようにして作られた。

本書は、新型コロナ禍における中国の対応を分析し、コロナ以降の変化を予測している。最近の反中感情を考慮して、中立性を担保するために、韓国と中国、台湾の研究者12人が執筆陣として参加した。内外の視線をまんべんなく反映し、現象を多角的に分析しようという試みだ。著者は「単純に反中感情に振り回されず深く接近してこそ、中国の現実を実事求是的に把握できる」と強調する。

しかし執筆陣に属する一部の中国学者たちの自国中心主義は、むしろ中国の限界を示しているという考えをぬぐい切れない。例えば、第5章を書いた中国国家革新発展戦略研究所の謝茂松研究員は、革命経験と市場経済と結合した中国システム(新型挙国体制)が防疫成功につながったと自評する。これは、「中国共産党が20世紀初め、日本帝国主義と戦った当時の人民戦争の経験が、コロナとの戦いで勝利した原動力」という中国当局の宣伝とも通じる。

しかし、「中国武漢での初期防疫失敗は、中国権威主義政治体制の産物だ」という韓国人筆者(朴佑漢城大学基礎教養学部教授)の指摘は、決して見過ごすことはできない。問題は、中国当局が香港の民主化要求と米国との対立を克服する手段として、権威主義に回帰する傾向を見せているということだ。これは結局、コロナ禍以後も中国と世界に少なからぬ影響を及ぼす変数になるだろう。


金相雲 sukim@donga.com