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二足で歩く原始ワニの痕跡、世界で初めて慶尚南道泗川で発見

二足で歩く原始ワニの痕跡、世界で初めて慶尚南道泗川で発見

Posted June. 12, 2020 08:55,   

Updated June. 12, 2020 08:55

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1億1000万年前の韓半島南部。湖の隣の背の高いシダ植物をのどかに食べていた草食恐竜の長い首を、捕食者の強い顎がかんだ。倒れる恐竜の目に映った捕食者は肉食恐竜ではなかった。前足を持ち上げて歩く巨大な「二足歩行ワニ」だった。

二足で歩きながら中生代を号令した巨大な原始ワニの足跡化石が、世界で初めて韓国国内で発見された。二足で歩いたと推定される小型ワニの骨格化石は、米国で発見されたことがあるが、「物証」である足跡化石が確認されたのは今回が初めてだ。

キム・ギョンス晉州(チンジュ)教育大学科学教育科教授と韓国地質遺産研究所のぺ・スルミ研究員、イム・ジョンドク国立文化財研究所復元技術研究室長チームは、米コロラド大学や豪州クイーンズランド大学チームと共同で、慶南泗川自惠里(キョンナム・サチョン・チャへリ)の1億1000万年前の白亜紀前期地層である「晉州層」から、二足で歩いた大型原始ワニの足跡化石を発見して、国際学術誌「サイエンティフィック・リポーツ」の11日付に発表した。

研究チームは、昨年初めに自惠里で爬虫類の後部足跡化石数百点を発見した。足の長さは18〜24センチで、足の裏の構造はもとより、つま先まで鮮明に保存された化石だった。足の指が4つという事実を根拠に、研究チームは最初は中生代爬虫類である翼竜に分類して、研究を開始した。慶南泗川鵝頭(アドゥ)島の化石産地(天然記念物第474号)と南海加仁里(ナムへ・カインリ)の化石産地(天然記念物第499号)では、10年以上前から似たような化石が多数発見されたが、キム教授とイム室長チームは、2012年の論文を通じて、これらが翼を持ちあげて二足で歩くユニークな翼竜の足跡化石だと明らかにしてきた。

しかし、昨年11月に反転が起きた。共同研究者であるマーティン・ロックリー米コロラド大学教授と自惠里化石を再確認する過程で、足裏の形がワニと似ていることが確認された。ロックリー教授は電子メールでのインタビューで、「歩行列化石が、ワニの足の構造とぴったり合った」とし、「翼竜ではなく、両方の足で歩くワニである可能性を思い浮かべることになった」と話した。米ワイオミング州とノースカロライナ州などで、二足で歩いたと推定される約2億年前(中生代三畳紀後期)の小型ワニの骨格化石が出たことはあるが、実際の足跡化石は発見されたことがなかった。

キム教授は、「すぐに研究に突入した結果、3番目の足指が取り分け長い特徴など、現生ワニの足跡と非常によく似た特徴が確認された」とし、「決定的に、化石の一部からワニの特性をそのまま秘めた足裏の皮膚の跡が発見され、ワニの足跡化石であることが確認された」と語った。研究チームはこの化石に、「大型バトラチョプス原始ワニの足跡」という意味の「バトラチョプス・グランディス」という名前を付けた。バトラチョプスは「尾のない両生類」という意味だ。

研究の結果、このワニは体長さが最大で3メートルに達し、尾と足を持ち上げたまま、体を水平に立てて後ろ足だけで歩くユニークな歩き方をしていたことが明らかになった。足を左右に曲げたまま、這うように歩く現生ワニと違って、足が胴体から直接伸びた状態で歩いたと推定される。

この原始ワニは、数十匹が集団生活をしたと見られる。さらに、体も大きく、草食恐竜を捕食しながら、当時全盛期を享受した肉食恐竜と競争した可能性が高い。イム室長は、「二足で歩く原始ワニが、中生代初期(三畳紀)から前期白亜紀まで1億年以上生存しており、生息地も北米や韓半島などと広かったことを確認した」とし、「ワニが恐竜と一緒に、当時最上位の捕食者をなす生態系の『主演』であったことを初めて知った」と語った。

一方、今回の発見は、120年間続いたもう一つの論争にも新たな解決策を提示するものと見られる。同じ足跡が発見された南海加仁里と四川鵝頭島で発見された足跡は、両足で歩く翼竜ではなく、ワニだった可能性が高くなったからだ。翼を持ち上げて後ろ足で歩く翼竜の存在は、過去120年間、古生物学界の論議の一つだった。イム室長は、「8年前の研究で、これらを二つの足で歩く翼竜だと報告したが、あまりにも奇妙なので、論文に『謎の巨大翼竜』という表現を使った」とし、「今回の発見で、翼竜は主に4足で歩き、二足で歩いても前足で歩いただろうという仮説が説得力を持っている」と語った。

今回の化石が発見された晉州層は、慶南晉州、泗川、固城(コソン)一帯に広まった地層である。世界初の駆け足哺乳類、世界最古のカエル、世界最小のラプター恐竜、尾を持ち上げて四足で歩いた原始ワニ、トカゲなど、様々な中生代動物の足跡化石が発見された。1980年代からこの地域を訪れたロックリー教授は、「晉州層は肌が保存されるほど化石の保存状態が優れており、様々な化石が発見された世界最高の化石産地だ」と述べた。


ユン・シンヨン東亜サイエンス記者 ashilla@donga.com