Go to contents

10分間の体育授業

Posted May. 09, 2020 08:30,   

Updated May. 09, 2020 08:30

한국어

青い空の下、はためく万国旗、「赤組勝て、白組勝て」、綱引きとリレー・・・。5月には開かれる学生時代の運動会の風景だ。誰でも思い出の一つぐらいはあるだろう。

しかし、今年はその姿を見ることが難しくなった。新型コロナウイルスが奪った大切な日常には、運動会も含まれている。すぐに取り消すのではなく延期を望む声も多い。穴が空いた授業日数を埋めなければならない状況なので容易ではない。新型コロナウイルスの以前も、運動会は費用や学事日程に押され、やっかいもの扱いだった。競技や応援などの準備など、教育効果は大きいのだが。

運動会だけではない。学校の体育は、入試中心教育によって居場所がなくなりつつある。そのうえ、新型コロナウイルスにともなうオンライン授業は限界を如実に露呈している。ソウルのある中学3年生のケースを見よう。2分間の体操動画と6分間の女子バレーボール日韓戦のハイライトの視聴、略式クイズで行われた。約10分で授業をセルフで終えた生徒たちは、その後、数学、英語の塾の宿題に没頭する。

 

すべてのオンラインの体育の授業が空虚ではないだろう。準備に力を入れ、生徒と双方向で意思疎通する教師もいる。しかし、対面指導が必須の体育科目は、オンライン授業も格別な努力がなければ成果を期待することは難しい。普段も後まわしにされることが多い体育授業が、新型コロナウイルスの直撃弾を受け、してもしなくてもいい科目になったようだ。

 

文化体育観光部の2019年の国民生活体育調査を見ると、10代の体育参加率(1週間に1回以上)は50.1%で、全年齢で最も低かった。昨年11月に世界保健機関が発表した146ヵ国の11~17歳の青少年を対象にした1日の身体活動量調査で、韓国は1時間未満が94.2%で1位だった。英カーディフ・メトロポリタン大学の研究によると、中学、高校を経て大学まである組織に属してスポーツを続けてきた集団は、そうでない集団より肥満度と心血管系の疾患の危険が顕著に低く、成人になってもスポーツに参加する確率が高い。プロ野球子ども会員だった人は、白髪になっても野球場を訪れるものだ。「幼い時に汗で得た達成感は強烈な記憶となって残る。大人になった時、再び蘇り、一生運動を通じて元気な生活を維持するようになる」。国民大学のイ・ギガァン教授の言葉だ。

13日からは次々に登校が始まる。当分の間、新型コロナウイルス感染の再拡大を懸念して、室内空間での体育の授業は避けることになった。マスクも必須だ。当然の措置だ。ただし、無条件「体育=自習」になっては困る。体育は免疫活性化にも役立つので、対面授業はするものの、距離を置いて個人別運動プログラムを実施することが必要だと専門家らは指摘する。韓国スポーツ政策科学院のソン・ボンジュ博士は、「活動自体を敬遠して萎縮するよりも、安全を保障する活動を中心に再編する努力が優先だ」と指摘した。オンラインとの並行授業に向けたインフラ構築とコンテンツの開発が切実だ。関係当局も、スポーツクラブの活性化や運動施設の拡充など政策と実行が一層要求される。

約100年前、東亜(トンア)日報は、「民族の身体の改造は衛生と体育によらなければならない。中でも効力を持つのは体育だ。特に、私の世代の主人である青少年、男女生徒の体育だ。今よりも生徒の体育を奨励する必要がある。最近の小学生と女子生徒の中で体育が旺盛な傾向であることは言うまでもなく歓呼する現象だ」という記事を1面トップに掲載した。「体育と競技」という1923年10月のこの記事は、今も心に訴えかける。新型コロナウイルスの感染拡大は、世の中を根こそぎ変えつつある。学校の体育もアイディアと革新の新しい地平を開かなければならない。子どもたちが思う存分走り回れてこそ、社会も元気になる。


金鍾錫 kjs0123@donga.com