Go to contents

「平壌の春」をどう早めることができるのか

「平壌の春」をどう早めることができるのか

Posted May. 01, 2020 08:16,   

Updated May. 01, 2020 08:16

한국어

「金氏王朝以外のことを考えた人の多くは、死んだり政治犯収容所に送られました。今残っている人々は現体制の恩恵を代々受け、現状維持が実質的な利益と考えるか、不満があっても『口出しすれば命を失う』と沈黙する人々でしょう」

ワシントン特派員だった時、現地の韓半島専門家たちが「北朝鮮の人々はなぜ金氏一家の世襲独裁に逆らって、変化を求めて行動しないのか」と質問するたびにこのように説明した。前者の積極的な反逆者は少数だろう。問題は、後者のような多数の消極的な敗北主義者だ。首領を除くすべての人が監視し合う精巧な密告システムとこれによる周期的な粛清の経験は、エリートと大衆に「無駄死にするより卑屈な生存がまし」という知恵を体得させた。

 

学者はこれを「政治的有効性感覚(political efficacy)」が低い状態だと話す。「私が出れば政治が変わる」と考える人が少ないということだ。韓国政治史の4・19革命や6月民主抗争のように革命は政治的有効性感覚を持つ多数が集まってこそ実現する。いつも少数のエリートがたいまつを持つが、沈黙していた多数が本を閉じてワイシャツの袖をたくし上げて図書館やオフィスから街頭に飛び出す時、既存の秩序が崩壊する。

平壌(ピョンヤン)労働党舎の前でも若者が様々な政治的未来を討論したことがあった。彼らが金氏独裁によって一人二人消えるのを見て、北朝鮮エリートと大衆の政治的有効性感覚は「0」に収斂した。黄長燁(ファン・ジャンヨプ)元労働党書記は、彼らを「青盲」(目はあいていながら、物を見ることができない人)」と呼んだ。黄氏を含め生命の危険を顧みず北朝鮮を出た人々は、「考えのある」北朝鮮の人々だろう。

3代世襲独裁者である金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が3月11日に政治局会議を開いた後、公開活動をしないため、著名な専門家たちがメディアに登場して「ポスト金正恩」を論じた。太永浩(テ・ヨンホ)元駐英公使をはじめとする多くの高位級脱北者は、ひとまず正恩氏の妹の金与正(キム・ヨジョン)氏が実権を握るだろうが、女性である与正氏が権力を強化できなければ、故金正日(キム・ジョンイル)総書記の異母弟の金平一(キム・ピョンイル)氏が実験を握る可能性があると見通した。

 

2014年に脱北して米国に滞在している李正浩(リ・ジョンホ)氏も、金与正氏が首領の座を占めるために金平一勢力を弾圧し、恐怖政治をする可能性が高いと見た。しかし、彼はもう一歩踏み出した。金正日、金正恩の秘密資金を管理する労働党39号室の元幹部である李氏は26日、東亜ドットコムに送った特別寄稿で、「一部の人が、金正恩の死後に金与正と金平一に(権力が)移ると予測をしているのは、金日成(キム・イルソン)一族の王朝体制を正当化する誤った考え」と主張した。また、「今北朝鮮の高位層も、金正恩体制の残忍な恐怖統治と抑圧に憎しみと怒りを覚えている。それで私は、北朝鮮エリートが正しい決定と選択をするよう積極的に支持して支援し、鼓舞しなければならないと考える」と述べた。

寄稿文に、「金与正・平一後継論は北朝鮮住民に対する冒涜だ」というタイトルをつけ、反省を促した。コラムを書き、番組に出演し、北朝鮮の人々が「青盲」であることを前提とした「白頭(ペクトゥ)血統継承論」を無批判に伝えたのではないか。金与正か金平一か、金氏後継当てをするのではなく、金氏世襲独裁をどのように終わらせるのか悩む時ではないか。「平壌の春」を導く北朝鮮エリートの政治的有効性感覚を高めるために、私たちがしなければならないことはなにか。正恩氏の隠遁騒動は価値ある所得だった。


申錫昊 kyle@donga.com