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メキシコ戦を控えた黄喜燦が「アングリーブル」に変身

メキシコ戦を控えた黄喜燦が「アングリーブル」に変身

Posted June. 22, 2018 07:40,   

Updated June. 22, 2018 07:40

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スウェーデンを迎えて初のワールドカップ(W杯)試合に出場した男は、敵陣に向かった猛烈に駆け上がった。全力疾走の最高速度は時速32.4キロ。韓国代表メンバーの中で一番速かった。素早いゴールへのダッシュにはスタンドから歓声も上がったが、決定力に欠けていた。得点チャンスで、男の頭に当たったボールはゴールを大きく外れた。男は唇を噛んだ。「緊張をしないタイプなんだけど…、W杯は簡単なところじゃないんだなと実感した。今度は是が非でも勝てる試合をしたい」。

ロシアW杯第2戦のメキシコ戦を控えて、黄喜燦(ファン・ヒチャン=22、ザルツブルク)は、「アングリーブル」に変わった。スウェーデン戦でシュートが1本しかなかった黄喜燦がメキシコ戦で名誉回復を狙う。スウェーデン戦では中央ではなくサイドに配置され、守備の仕事まで任され、攻撃に集中することができなかった。黄喜燦は、「最前線にいる時に自信がある」と話した。

メキシコは強いプレスをかけるチームなので、守備ラインを韓国陣営に上げたとき、守備裏のスペースが薄くなる弱点がある。そこを攻略するために、黄喜燦と孫興民(ソン・フンミン=トッテナム・ホットスパー)と共に最前線の2トップに起用される可能性がある。

黄喜燦はワンタッチパスを得意とし、味方の攻撃陣との連携プレーが可能だ。孫興民や李承佑(イ・スンウ=ヴェローナ)など敵陣深くに攻め込める同僚たちと、日ごろから戦術的な動きについて良く意見を交換しながら息を合わせた。黄喜燦は2016年リオデジャネイロ五輪では孫興民と、W杯メンバーが国内招集された大邱では、李承佑と相部屋だった。黄喜燦は、「お互いの強みを生かせる方法について会話をした。アイデア豊富な同僚たちと有機的なプレーをしたい」と話した。

黄喜燦をはじめ韓国の攻撃陣が越えなければならない壁は、メキシコの「精神的支柱」ラファエル・マルケス(39=アトラス)だ。国際Aマッチ146試合に出場したマルケスは、ドイツとの初戦で途中出場し、W杯5大会に連続で出場した史上3番目の選手になった。マルケスが初めて国際Aマッチに出場した1997年に黄喜燦は1歳だった。李承佑は生まれてもいなかった。

国際サッカー連盟(FIFA)ランキング15位のメキシコは、客観的な戦力面で自分たちより弱い韓国(57位)を相手に攻撃的なプレーをすると見られる。しかし攻撃だけに集中し、カウンターを許した場合に失点の危機を迎えるのを恐れて、メキシコは試合の展開を調整し、堅実な守備力を備えたマルケスを重用すると見られる。マルケスはメキシコが3バックを使う場合は中央DFに、4バックで臨む場合は守備的MFに起用される。ボールを奪うための位置選定に優れ、後方からパスを使って攻撃を展開する才能は抜群だ。しかし、機敏さは最盛期に比べて落ちるという評価だ。韓国の攻撃陣は積極的に突破を図り、マルケスの弱点を狙うべきだ。

マルケスがメキシコの求心点であることは間違いないが、練習場での彼の姿は他の選手たちとは一風変わっている。マルケスの練習服にはメキシコ代表のスポンサー企業である米国の「コカコーラー」のロゴがない。マルケスが麻薬組織の資金洗浄を手助けした疑惑があるとして、米国のブラックリストに上がっているからだ。米国企業と銀行などはマルケスとの取引が禁じられている。米紙ニューヨークタイムズによると、マルケスは米国製ブランドの飲料を飲むことも禁じられており、試合で最高の活躍をしても米国のビールメーカー「バードワイザー」がスポンサーする試合の最優秀選手にもなれない。

メキシコ代表のフアン・カルロス・オソリオ監督は、「マルケスは経験豊富な選手だ。彼のリーダーシップはチームに間違いなくプラスになっている」と褒め称えた。マルケスは、「韓国は速いサッカーをする。スピードの速い彼らを封じ込めて、ドイツ戦勝利の流れを維持したい」と語った。


鄭允喆 trigger@donga.com