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[オピニオン]三星の「電撃Z作戦」

Posted November. 16, 2016 08:31,   

Updated November. 16, 2016 08:33

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1980年代に人気を集めた米ドラマ「電撃Z作戦(原題=ナイトライダー)」にはスーパーカー「キット(KITT)」が登場する。苦境に立たされた主人公「マイケル・ナイト」が、「助けて、キット」と叫ぶ瞬間がこのドラマのハイライトだ。マイケルがスマートウォッチで指示を出せば、キットはどこからか現れて悪党の前を遮る。ドラマの中のキットの製作会社の名は「ナイトインダストリー2000」であることから見て、当時の作家たちは2000年になれば、人工知能が完璧に具現されるだろうと思っていたようだ。週末の午後が退屈だった80年代の青少年たちは、キットを見ながら自動車が友人になる未来を夢見た。

◆クラウス・シュワブ世界経済フォーラム会長は、第4次産業革命時代を率いる24件の技術のうち、自律走行自動車を12番目に取り上げた。テスラが一部の自動化技術を導入し、グーグルは2020年に自律走行車を商用化すると言われているので、遠い未来のことではない。スマートフォンがデータや資産を一堂に集めて、人々が商品とサービスを消化する方式を変えたなら、自律走行車は、交通物流システムやライフスタイルを根本的に変える革命になる可能性が高い。

◆三星(サムスン)電子は一昨日、米自動車電子装備(電装)メーカー「ハーマン」を、9兆ウォンで買収することにした。自動車のオーディオ分野で世界トップ、車両無線通信分野で世界2位のハーマンの買収で、塘路情報をリアルタイムでやり取りする自律走行技術の完成度を高めることができる。未来の自律走行車がエンジンのない電気車の形なら、車体を作る自動車メーカーよりは電装会社の方がより中身が充実している。三星が、「今回の買収合併(M&A)は自動車市場への挑戦とは関係ない」と一線を画したのは、煙突産業方式の自動車メーカーには興味がないという意味に聞こえる。

◆三星電子は、朴槿恵(パク・クンヘ)政府発足後、16件の大規模なM&Aに乗り出した。医療機器やモバイルクラウドソリューション、人工知能フラットフォームなど、未知の領域を開拓しようとする試みと評価するに値する。しかし無理なM&Aは、勝者の呪いへと繋がるリスクも高い。三星電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長は、崔順実(チェ・スンシル)ゲートなど、三星を巡る不確実性の輪を断ち切り、M&A後のビジョンを示してほしい。財閥3世経営を巡る懸念に応えなければならない。

ホン・スヨン論説委員 legman@donga.com