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[社説]難民専門家の次期国連事務総長、北朝鮮状況の創意的な解決策を模索しなければ

[社説]難民専門家の次期国連事務総長、北朝鮮状況の創意的な解決策を模索しなければ

Posted October. 07, 2016 08:56,   

Updated October. 07, 2016 09:17

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国際舞台で「難民専門家」で通じるアントニオ・グテーレス元ポルトガル首相が、次期国連事務総長に事実上、選ばれた。国連安全保障理事会が5日、10人の候補に対して行った6回目の非公開予備投票でグテーレス氏が選ばれ、来年1月から潘基文(パン・ギムン)事務総長の後任として国連を率いることが確実視される。

グテーレス氏は、2005年から2015年まで国連難民高等弁務官を務め、シリア難民問題などで先進国の支援を取りつけた難民専門家だ。特に、中国内の脱北者を北朝鮮送還時に処刑される危機に直面する「後発難民(Refugee Sur Place)」と定義し、国際社会の保護が必要だと力説するなど、脱北者問題に深い関心を示した。中国は、脱北者が経済的理由で国境を越えた「経済的移住者」だと主張し、難民の地位を認めない。これに対してグテーレス氏は2014年11月、ニューヨーク大学の北朝鮮人権イベントで中国が脱北者を強制送還するのは中国も署名した難民協定に反すると指摘した。国連難民高等弁務官時代には、中国に脱北者問題についての議論を提案して拒否されたが、国連事務総長に就任すればより積極的に中国の脱北者保護の責任を問わなければならない。

グテーレス氏が、国連事務総長として国際平和と安全保障を維持し、紛争予防のための調整や仲裁任務を遂行する際に直面する最も深刻な脅威の一つが北朝鮮問題だ。グテーレス氏は以前、難民問題の発生の根本原因を国家の人権侵害とし、代表的な事例として北朝鮮を名指ししたことがある。北朝鮮は、金日成(キム・イルソン)、金正日(キム・ジョンイル)、金正恩(キム・ジョンウン)3代の暴圧的な人権弾圧と核・ミサイル開発で国際社会の平和と安定を深刻に脅かしており、国連加盟国の資格まで疑問視されている。最近では、北京の北朝鮮大使館に勤めていた保健省幹部家族の脱北など、金正恩体制の動揺の兆候も現れ、大量脱北の事態が現実のものとなる可能性も排除できない。

中東難民の悲劇はもとより金正恩政権の核やミサイル挑発、人権蹂躙などを制御できず国連の権能と存在理由が疑問視される状況だ。北朝鮮住民が難民よりも悲惨な状態から抜け出し、人間らしい生活を送れるようグテーレス氏が国際社会の解決策を導き出すことを期待する。



한기흥기자 ハン・ギフン記者 eligius@donga.com