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[社説]フランシスコ法王が残した教訓

Posted August. 19, 2014 03:43,   

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フランシスコ法王は、カトリック信者だけでなく、全ての韓国人の胸に大きな影響を残し、18日、バチカンに帰った。この地に滞在した4泊5日間、法王は、人間味溢れる質素な言動や社会的に低いと見倣される場所へ赴く足取りで、宗教や世代を超えて、「法王シンドローム」を引き起こした。まるで甘えた子供ように、韓国社会は、旅客船セウォル号惨事をはじめとするさまざまな癒されていない対立や分裂が凝縮された国内諸問題を全て、彼の前に吐き出した。法王は、寛大かつ辛抱強く、傷跡をなでてくれ、その癒しと慰めのメッセージに、大韓民国は熱狂した。

世界のカトリック教の最高元老であり、この時代の精神的指導者として、法王が示したリーダーとしての品や深さは、人並み外れたものだった。大衆と目線を合わせるリーダーシップ、君臨せず、仕えるリーダーシップは、我が韓国国民に特別な共鳴を引き起こした。言葉と行動が一致する真剣さこそ、コミュニケーションや共感のカギであることを、実践で示したのだ。宗教界だけでなく、この地の政治指導者らが見習うべきリーダーシップの鏡だった。

法王の訪韓は、この地に大きな響きを残したが、北朝鮮の住民らのための祈りを促し、残酷な人権状況への国際社会の関心を集めるきっかけになるだろうという予測は外れた。昨日、明洞(ミョンドン)聖堂で行われた「平和と和解のミサ」で法王は、「全ての韓国人は同じ兄弟姉妹であり、同じ家庭の構成員であり、一つの民族だという事実への認識が、さらに広まるよう、一緒にお祈りしよう」と述べた。明洞聖堂でのミサで、法王は、韓半島の和解や平和を念願する切ない願望を祈願しながらも、北朝鮮の住民らへの言及は無かった。

訪韓を控え、米国のカトリックメディア「ナショナルカトリックレジスター」は、ヨハネ・パウロ2世の故郷のポーランドへの訪問が、東欧の変化を促したのように、フランシスコ法王が、世界で最も閉鎖的社会で苦しんでいる声無き人たちの声を代弁するだろうと見込んだ。国内外の期待が高まっただけに、物足りなさが残る。

「より小さいものを選び、より狭いところに止まり、疎外された人たちと共に生きるべきだ」という法王の訪韓は、不信や敵対感で対立してきた我々に、癒しの光を投げかけた。しかし、社会の一部からは、法王の純粋なねぎらいを、自分勝手に解釈し、分裂や葛藤を煽ろうとする言動は、違いを乗り越え和合すべきだという教えを裏切るものだ。

昨日、法王は別の宗教指導者らと会って、「お互いを認めあい、共に歩もう」と、開かれた心を強調した。個人と共同体のレベルで、韓国社会も和解や一致、平和のメッセージに答えるべきだ。法王が去った場に撒かれた和解や平和の種を、生い茂った森へと育てることこそ、我々の課題だ。