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R19指定のロマンス小説、「電子書籍市場」を席巻

R19指定のロマンス小説、「電子書籍市場」を席巻

Posted May. 12, 2014 07:43,   

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会社員のイさん(37・女)は出勤途中「密かな楽しみ」ができた。地下鉄を利用するイさんは、タブレットPCでR19指定のロマンス小説を楽しむ。彼女は、「電子書籍はどんな本を読んでいるか他人が分からないことが長所だ」と話した。イさんのように電子書籍で「大衆小説(ジャンル小説)」を楽しむ人が増えている。特に成人女性をターゲットにした「ロマンス小説」が増えている。

●書籍レンタル店の大衆小説作家たち、「電子書籍」に移住

東亜(トンア)日報が4月1日〜5月9日、電子書籍総合ベストセラー1位から10位を分析した結果、教保(キョボ)文庫の場合、「近く、もっと近く」、「皇太子の魅惑」などの成人用ロマンス小説が70%以上を占めた。イエス24も同期間、「悪魔との結婚」、「太陽の恋人」など約80%がロマンス小説だった。

これらの本は、「19ロ説」と呼ばれる。「R19指定の(成人用)ロマンス小説」の略語だ。出版界によると、「19ロ説」の著者の多くは、2000年代初・中盤、書籍レンタル店を通じて流通していた大衆小説作家だ。インターネットのダウンロードが活性化した2005年以降、書籍レンタル店が急激に減少したために活動の舞台を失ったロマンス、武侠、推理などの大衆小説作家が電子書籍市場に移ってきたのだ。

バンディ出版社のキム・ジョンヒ課長は、「2007年から2011年まで、ロマンス、武侠作家が市場の変化で苦しんだが、2012年に電子書籍が活性化し、道が開かれた」と説明した。韓国出版文化産業振興院によると、電子書籍の売り上げは2011年の450億ウォンから2012年に800億ウォン、2013年に1200億ウォンと急成長している。

成人用ロマンス小説が電子書籍を席巻した背景には、女性の読者層がある。イエス24の2013年の電子書籍購買の年齢層を分析した結果、30、40代女性の割合が全体の41.4%となった。イエス24の電子書籍担当イ・ミンジョン氏は、「女性は武侠やファンタジーをあまり読まないうえ、自分が何の本を読んでいるのか知られることを嫌がる」とし、「電子書籍はこのような傾向と合致する」と説明した。

●扇情性は問題…電子書籍も多様性を確保しなければ

出版界は、電子書籍市場で成人ロマンス小説の勢いがさらに強まると予想している。一般書籍はもとより、同じ大衆小説ジャンルである武侠、ファンタジーに比べてストーリーが複雑でなく短いため、「簡単に読んで早く捨てる」スナック・カルチャー(snack culture)に合っていると見られている。

短期間で出版されるため、作品にトレンドを反映しやすい。会社員のキム・ジョンリョンさん(32・女)は、「ロマンス小説の主人公の会話には常に最近の流行語が出てくる。それだけ共感しやすい」と話した。紙の本の製作費の5分の1しかかからないだけでなく、価格も1冊当たり2000〜4000ウォンと安価であるという長所がある。

業界によると、電子書籍のロマンス小説作家は現在5万人と推算される。10年間、ロマンス小説を書いた作家イ・スリム氏は、「レンタル店では数百回レンタルされても1冊分の印税だが、電子書籍では価格の50%を受け取る」とし、「年間の収入が1億ウォン台の作家も出てきた」と話した。

問題点も指摘された。ロマンス小説の多くは、「お尻から下がってきた手が白い太ももに触れた」といった赤裸々な表現が含まれている。出版社関係者は、「似た内容でもタイトルが刺激的だったり、Hなシーンがあれば販売量は増える」とし、「作家にHなシーンを何回以上入れるよう具体的に要求する出版社もある」と話した。

韓国出版文化産業振興院のイ・サンヒョン電子出版チーム長は、「作品性よりも扇情性を押し出すことは問題だ」とし、「電子書籍の利用者が多彩な本に接することができるよう一般書籍の電子書籍の出版を促している」と述べた。