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[オピニオン]家出したスケソウダラ

Posted February. 26, 2014 05:39,   

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「ある善良な漁師の網にかかり/暮らしやすい元山の見物をした後/エジプト王のようにミイラになったとき/あるさびしくて貧しい詩人が/夜遅く、詩を書き、焼酎を飲む時/彼のつまみになってもいい/彼の詩になってもいい/ずたずたに引き裂かれて/私の体はなくなっても/私の名前だけは残るだろう/スケソウダラ、スケソウダラと、この世の中に残るだろう」。詩人楊明文(ヤン・ミョンムン)が、歌曲「スケソウダラ」を書いた時代には想像すらできなかったことだろうが、今は本当にスケソウダラはその名ばかり残っているような気がする。

◆1980年代までは、年間漁獲量が7万4000トンもあったスケソウダラは、貧しい詩人のおつまみとしてはもってこいだった。しかし、海水温暖化や乱獲で、1990年代は6000トンへと漁獲量が激減し、07年以降は、年間1〜2トンに過ぎないほど、絶滅している。あれほどありふれていたスケソウダラ鍋料理屋は、姿を消した。見るに見かねた海洋水産部が、「家出したスケソウダラを探します」プロジェクトを開始するのに至った。

◆「家出したスケソウダラ」プロジェクトは、スケソウダラの受精卵で稚魚を生産し、東海(トンへ)に放流するということ。スケソウダラは、代表的な寒流魚種だ。稚魚の生産のためには、その培養時期に海水温度を低く保つのがカギだが、さらに急務なのは、スケソウダラの受精卵を手にすることだ。そのため、海洋水産部は、生きているスケソウダラを持ってくる人には、最高50万ウォンの謝礼金を支給することにした。ロシアや日本から受精卵を持ち込む案も推進する。

◆生きているスケソウダラに補償金をかけるほどになったというのは、韓半島海域の温暖化がどれほど深刻化しているかを示す証拠だ。スケソウダラだけではない。微妙な気候変動も、動植物には大きな影響を及ぼす。ジェームズ・クック大学のスティーブ・ウィリアムズ教授は、膨大な野生動物のデータを基に、地球の平均気温が1度だけ上昇しても、65種の生物のうち、63種が生息環境の3分の1を失うと明らかにした。このように貴重な生物資源の価値を認識し、生物資源の利用と関連し、国家間合意を引き出すための第12回生物多様性締約国総会が9月、平昌(ピョンチャン)で開かれる。家出したスケソウダラが戻り、国際社会に生物多様性への韓国の関心や意志を示すきっかけになることを願う。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com