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原発マフィア、神話から墜落まで

Posted June. 21, 2013 07:26,   

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「あの原発マフィアのせいで…」。エアコンが止まった室内でこのような事態を招いた原子力業界への怒りが込み上げる。「マフィア」とまで呼ばれる原子力業界の特殊性は、その胎動期の歴史を知らなければ理解し難い。原子力は初めから発電や治療ではなく、大量破壊兵器として開発された。第2次世界大戦中の核兵器開発プログラムである「マンハッタン・プロジェクト」が起源だ。原爆の開発は、米国、英国、カナダの約30ヵ所で分散して行なわれ、開発過程は第1級の機密だった。原爆開発に参加した人々は、ロバート・オッペンハイマーをはじめとする世界的な学者だった。

原子力の秘密主義とエリート主義はこのように根が深い。

人類が原子爆弾の恐るべき力を目撃し、戦争が終わった後、原子力は「平和的な利用」に方向を旋回する。

原子力潜水艦ノーチラスが開発され、その反応炉を変形させて商業用原子炉が作られる。そのような変化にもかかわらず、原子力を扱う人々の独特の思考体系は変わらなかった。

「彼ら(原子力の人々)は、米国という自由民主主義の海に浮かぶ社会主義者の島」という言葉は、1950年代に米議会の聴聞で発せられた。秘密主義とエリート主義は韓国も同じだが、韓国にはさらなる特徴がある。第1に、原発事故と政権の性格によって、浮沈を経験した他国とは違い、国内の原子力は歴代大統領の全幅の信頼と支援を受けて成長した。李承晩(イ・スンマン)大統領は初の国家総合研究機関である原子力研究所を設立し、朴正熙(パク・チョンヒ)大統領は原発を導入しただけでなく、核兵器の開発まで夢見た。全斗煥(チョン・ドゥファン)、盧泰愚(ノ・テウ)、金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領に続き、原発輸出を果たした李明博(イ・ミョンバク)大統領まで、原子力は歴代大統領の無限の信頼を受けてきた。

第2に、国内の原子力には愛国主義が結びついている。1970年代、何の知識も技術もないエンジニアがウェスティング・ハウス社で肩身の狭い思いをしながら見よう見まねで技術を学んだ話は伝説になった。そのような闘魂は、物質的補償だけでは説明できない透徹した使命感と愛国心があって可能なことだった。初期の原子力産業のストーリーは、朴泰俊(パク・テジュン)ポスコ名誉会長の「製鉄報国」に劣らない「原発神話」だ。先日、米国とカナダの原子力業界を見学した時、韓国の独特の原子力文化を実感した。これらの国では原子力規制機関の人々は公務員で、原発運営者はビジネスマンだった。原子力専攻の教授、韓国水力原子力の職員、原子力規制機関の公務員まですべて「国家と民族のために働く」と主張する韓国とは違った。

第3に、韓国の原子力業界は師弟と先輩後輩からなる学縁が作動している。学縁はどの分野でも存在するが、学縁と専門性が重なる時、進入障壁が高まり、閉鎖性は大きくなる。西欧では大学が多く、特定の学閥が業界を掌握することはできない。マンハッタン・プロジェクトを見ても、米国、英国、オーストラリアだけでなくドイツの亡命科学者など多国籍の学者が参加した。

原発事故の隠蔽、納品不正に続き試験成績書の偽造まで起こり、福島原発事故後ただでさえ印象の良くない原子力の信頼は地に落ちた。専門性、秘密主義、愛国主義、学閥で「彼らだけのリーグ」を作り、外部との疎通を無視した「原子力家族」に大きな責任がある。内部告発があったということは、原子力という大きなパイをめぐって、業界内で亀裂が起こっているという意味でもある。このような構造的不正が明らかになったことは幸いだ。

安全は事故が起こってさらに強化される。ただ、原子力従事者の士気の低下が安全をかえって阻害する恐れがある点が心配だ。教師からひどく叱られた生徒はより失敗する。そのような意味で、多くの善良な原子力従事者と「マフィア」と言われる主犯を区別する必要がある。密かに語られるマフィアのボスが誰なのか、気になるのは私だけではないだろう。