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1インチに実現させた魔の300ppi、ギャラクシーネクサスの開発格闘記

1インチに実現させた魔の300ppi、ギャラクシーネクサスの開発格闘記

Posted December. 02, 2011 03:00,   

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プロジェクトチームのメンバーが立てた目標は、スマートフォンに搭載されるアモレッド(AMOLED)画面1インチの中に300個以上の穴をあけることだった。アモレッドでは、穴を多くあければあけるほど、色を表す画素(ピクセル)数が多くなる。

アモレッドを使うギャラクシーS2の縦横1インチ当たりの画素数(ppi)は217個だった。液晶ディスプレイ(LCD)を使うアイフォン4は、326個入る。アモレッドは、自然色をそのまま再現できることが長所だが、画素数だけ見ればアイフォンに押されていた。まだアモレッド技術が「新生」であるため、LCDに比べて画面に微細な点を細かく入れることが難しかったためだ。

ディスプレイ業界でも、数年内にアモレッド縦横1インチの面積に画素300個以上を入れることは不可能だと考えていた。LGディスプレイの権暎壽(クォン・ヨンス)社長も7月、記者団に対して、「現在の技術では、数年内にアモレッドで270ppiは不可能だ」と話していた。

●ジョブズが作った「300ppi」のハードルを越えろ

業界の展望は、チームをさらに刺激した。回路設計を担う李ジュンホ研究員は、「アモレッドで300ppiは不可能だという記事に接する度に、これを必ず克服するという思いが沸き起こった」と話した。

300ppiが突然スマートフォン画面の標準のようになった理由は、故スティーブ・ジョブズ前アップル最高経営者(CEO)にある。被写体と30センチ離れた距離で人間の目が認知できる限界を300ppiと考える。ジョブズは昨年6月、300ppiを超えるアイフォン4の画面を「レティナ(網膜)ディスプレイ」と呼んだ。

解像度でもアイフォンを越えるために、プロジェクトチームのメンバー約10人は、ガラス板を何枚も割った。アモレッドはガラス板の上に穴があけられた「マスク」という薄い板をつけ、その穴に色を出す発光物質を入れる。髪の毛よりも細い小さな穴が一つの画素となる。

このマスクが厚ければ、発光物質が穴を通過するためにガラス板にうまくつかず、薄すぎれば、穴を多くあけた場合に曲がってしまう。また、ガラスの基盤とマスクがうまくつかなければ、色が混ざり合ってしまう。

金ヒョンチョル研究員は、「開発期間に量産ラインでサンプルテストと工程の改善を研究し、完璧な製品でなければ容赦なく割った。捨てられたガラス基盤を面積に換算すれば、約6600平方メートルにのぼる」と話した。6600平方メートルは、サッカー場(45メートル×105メートル基準)の1.5倍の広さだ。

●スマートフォンでもHD映像を

彼らは何度も夜を撤した。チームのメンバーの結婚式にもチームの代表が1人だけ参加したこともあった。開発チームは、新しい素材を利用して、マスクを初めから作り直した。マスクとディスプレイをぴったりつけ、微細な300個以上の穴をあけたのだ。「ギャラクシーネクサス」に搭載される4.65インチ画面に316ppiを成功させ、全体画素数が1280×720になった。アイフォン4より解像度が高まった「HDアモレッドプラス」ができたのだ。

テレビは40〜50インチの大画面なので、高画質(HD)画素級の横1280個、縦720個の画素を入れることは難しくないが、スマートフォンはHD級を表現するために、どれほど細かく画素を入れるかが重要だ。李研究員は、「ギャラクシーネクサスの画面で、画素間の距離は髪の毛の太さの5分の1の水準だ」と話した。

これまでもスマートフォンの画質論争は絶えることがなかった。画素数が増えても、1画素当たりに入る色の数が異なる。自然色の基準が何かをめぐって、「アモレッド陣営」と「LCD陣営」の論争が激しい。李ヒチョル研究員は、「批判される度に言いたいことはあったが、最後は消費者が分かってくれると信じる。丁寧に作ったので、消費者はスマートフォンを落としたりしないでほしい」と言って笑った。



kimhs@donga.com