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名作の再発見

Posted October. 31, 2019 08:38,   

Updated October. 31, 2019 08:38

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ヨハネス・フェルメールは、レンブラントとともに17世紀のオランダ美術を代表する国民画家だ。しかし、19世紀中盤まで完全に忘れられた画家だった。死後ほぼ200年間、全く知られていなかったフェルメールは、どのようにして世界的な画家として再発見されたのだろうか。

この絵は、フェルメールが残した最も小さい絵だが、画家にとっては最も重要な作品だ。A4用紙よりも小さい絵には、黄色いドレスを着た女性が作業台の前に座ってレースを編んでいる。女性は2本の糸を持ち、慎重に針をさしている。画家は、レースを編む女性の姿を非常に詳細かつ精密に描いたが、一方、前景は異例にも抽象的に処理された。画面の左側の青いクッションから出ている赤い糸は、まるで液体のように流れ出ている。ほぼ同じ時期に描かれた別の人物画は、すべての小道具まで大変精巧に描写されたが、この絵は大胆且つ抽象的に描かれている。

日常の些細な場面を独特の技法で神秘に描き出したこの絵は、確かに魅力的だ。当時もフェルメールは、デルフトでかなり認められた画家であり、顧客もいた。しかし、残した作品の数が35点だけという致命的な短所があった。忘れられたフェルメールを歴史の舞台に引き上げたのは、意外にもフランス人だった。1866年、美術批評家だったテオフィル・トレは、このデルフトの画家の作品を研究した論文を出版し、これを持って欧州の主な美術館や個人コレクターを訪ね、フェルメールの価値を伝えた。彼の努力は、1870年にルーブル博物館がこの絵を購入して実を結んだ。

その後、フェルメールは、世界最高の博物館の壁に飾られる偉大な大家の仲間入りを果たした。絵が再評価を受けて高価になると、美術館や富豪たちも関心を持ち、購入し始めた。しかし、残念なことにトレはそれを見ることなく1869年に亡くなった。その代わり、フェルメールを再発見した人物として歴史に名を残した。



キム・ソンギョン記者 tjdrud0306@donga.com