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デューラーのセルフブランディング

Posted October. 03, 2019 08:34,   

Updated October. 03, 2019 08:34

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「セルフブランディング」の時代だ。様々なソーシャルネットワークサービス(SNS)には、自分を知らせるための個性あふれるプロフィール写真があふれている。16世紀のドイツの画家アルブレヒト・デューラーは驚くべきことに、現代のセルフブランディングのコンセプトを知っていた。彼は早々に画家としての技量だけでなく、自分の地位と名声を誇示する自画像を描いて、自分を知ってもらおうした。

1471年、ニュルンベルクの貧しい金細工職人の息子として生まれた彼は、家業を継がずに画家になった。絵の実力だけでなく自意識も強かった彼は、13歳のときに、西洋美術史初の自画像を描いた後、生涯、複数点の自画像を残したが、そのうち28歳の時に描いたこの自画像は、最も有名な作品であり、セルフブランディングの完結版である。顔と体の完全な左右対称、負担を感じるほどよく手入れされた髪とひげ、正面を凝視する強烈な目つき、豪華な毛皮のコート、自身を指す手の形などが強調されたこの絵は、手を上げて祝福をするキリストの図上と似ている。画家はこのように、キリストの肖像に似た自画像を通じて、神のような創作者の地位を自分に与えているのである。

デューラーは、著作権の重要性も知っていた。彼は1490年代から作品に署名を開始したが、この絵の背景の左にも刻まれている。デューラーの名前の頭文字AとDを合わせたこのマークは、彼が制作したすべての絵画と版画作品にも刻まれて、欧州に広まり、デューラーという名前自体が一つの有名ブランドになった。背景の右側には「私、ニュルンベルクのアルブレヒト・デューラーは、28歳に消すことのできない色で自分を描いた」というフレーズがあり、彼の作品であることを二重に証明している。

一介の職人に過ぎなかった画家の地位を、知識人であり、尊敬される創作者の列に引き上げたデューラーは、生前に富と名声を享受し、死後はデスマスクが作られ、髪が保管されているなど、聖人のように神格化された。セルフブランディングで、美術の不毛地ドイツにルネサンス美術を花咲かせたデューラー。今、彼は最も偉大なドイツの美術家として称えられている。