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オールスターの名演で熱帯夜が涼しい夜に、平昌大関嶺音楽祭の閉幕コンサート

オールスターの名演で熱帯夜が涼しい夜に、平昌大関嶺音楽祭の閉幕コンサート

Posted August. 12, 2019 08:48,   

Updated August. 12, 2019 08:48

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オールスターはオールスターの名にふさわしかった。若者は若者の名にふさわしかった。祭りは祭りらしかった。

江原道平昌(カンウォンド・ピョンチャン)のアルペンシア・ミュージックテントで10日開かれた今年の平昌大関嶺(テグァンリョン)音楽祭の閉幕コンサート「幸せに暮らしました」は、精緻でダイナミックな楽団と、走者たちの技量を適切に引き出した指揮者、感覚的な選曲、保養地のリラックスした雰囲気とがかみ合った名演奏が披露された。

昨年初めて披露された平昌フェスティバルオーケストラは、ヨーロッパのオーケストラで活動している韓国人奏者を中心に結成された。「世界オーケストラのオールスター」を集めたルツェルン・フェスティバル・オーケストラに着目したコンセプトだ。このような非常設楽団は、特定シーズンに短期間の練習をするため、安定したアンサンブルの実現が困難だ。しかし10日の公演は、これ見よがしに、そうした先入観を打ち破った。最初の演奏曲、メンデルスゾーンの「フィンガルの洞窟」の発展部の始まりの部分の弦の透明な響きは、永く忘れられない瞬間を作った。イ・ジヘ楽長は終始大きなジェスチャーの運弓で、弦パートを主導した。

最初の曲「フィンガルの洞窟」と2番目の曲であるヴラディゲロフのヴァイオリン協奏曲1番、最後の曲であるベルリオーズの「幻想交響曲」は、作曲家がそれぞれ生誕210周年、生誕120周年、死去150周年という「記念の年」であること以外にも共通点がある。極めて絵画的な作品であることだ。毎瞬間大きな画集が新たに繰り広げられる。今年の音楽祭のテーマである「異なる物語」とも合致する。オーケストラは緻密なアンサンブルと指揮者のニーズに完全に反応する有機的な色彩で、プログラムの絵画性を生かした。

ブルガリアの国民的作曲家ヴラディゲロフのヴァイオリン協奏曲1番は、ソロを務めたスヴェトリン・ルセフの「看板曲」でもある。ブルガリア出身で、ソウル市立交響楽団楽長を務め、韓国のクラシック愛好家にはお馴染みにおルセフは、民俗リズムに基づいた同曲の頑丈で弾力のあるリズム、その肉食性を手に取るように生かした。管弦楽がその背景に華やかな花台を施した。

スペイン放送交響楽団の首席指揮者パブロ・ゴンザレスは、前の曲と同じようにベルリオーズの「幻想交響曲」でも目新しいことは何もしなかった。楽団の新鮮さと精密さに一緒に酔う様子だった。フレーズ(分節)は伸ばされず、簡明だった。アルペンシアミュージックテントは、中音域を中心に多少反響音が大きいが、そんな空間の特性によくマッチした。「魔女たちの饗宴」を描いた最後の第5楽章で、指揮者たちはテンポを瞬時に変えたり強弱のコントラストを誇張する誘惑に陥りやすい。この日の演奏では、そうしなかった。むしろ、より鮮明で説得力のある音が描かれた。

演奏が終わると、団員たちは舞台の裏に退場する代わりに、互いに抱きしめ合い、舞台の上で一緒になって写真を撮りながら歓声を上げた。観客の一部も彼らと付き合った。「下の世界」では熱帯夜が猛威を振ったが、お祭りが幕を下ろしたここは、9月の夜が連想される涼しい夜だった。


平昌=ユ・ユンジョン記者 gustav@donga.com