金正恩氏、文大統領に「平壌発警告を無視するな」

金正恩（キム・ジョンウン）朝鮮労働党委員長が２５日、韓半島全域を射程圏内に収めた新たな種類の短距離弾道ミサイル発射を指導し、「南朝鮮当局者が事態発展の展望の危険性を認識し、最新兵器の搬入や（韓米）軍事演習のような自滅的な行為を中止せよ」と主張した。「いくら気に障っても、南朝鮮当局者は今日の平壌（ピョンヤン）発の警告を無視する失敗を犯してはならない」とも述べた。昨年に非核化協議が始まって以降、正恩氏がミサイル挑発後に事実上、文在寅（ムン・ジェイン）大統領に直接警告したのは初めて。

朝鮮中央通信は２６日、今回の弾道ミサイル挑発を「南朝鮮軍部の好戦勢力に厳重な警告を送るための武力示威」と規定し、正恩氏の発言を伝えた。５月のミサイル挑発時には「武力示威」という表現は使わなかった。

正恩氏は、「南朝鮮当局者が、世の中の人々の前では（板門店の南北米会談など） 『平和の握手』を演出し、共同宣言や合意書のような文書を交わしながら、自国に戻ると最新攻撃型の兵器を搬入し、合同軍事演習を強行するなど不可解なことをする二重の形態を見せている」と述べた。さらに、「（南朝鮮当局者が）一日も早く昨年４月と９月（南北首脳会談）のような正しい姿勢を取り戻すことを望む」と強調した。大統領府関係者は、正恩氏が朝鮮中央通信を通じて文大統領を非難したことに対して、「朝鮮中央通信の報道であって談話文ではない。公式の立場でないことに対しては話せない」と述べた。

一方、トランプ米大統領は２５日（現地時間）、ＦＯＸニュースとのインタビューで、北朝鮮の弾道ミサイル発射に対して、「小さなミサイルの発射実験しかしていない」と述べた。ポンペオ米国務長官は同日「（先月３０日の板門店会談で）正恩氏が、核実験をせず、中距離および長距離弾道ミサイルの発射を控えると約束した」と伝えた。米本土やグアムを攻撃できない短距離弾道ミサイルの挑発は黙認できるということであり、米朝非核化実務協議の開催に向けた努力は続けるというメッセージとみえる。朝鮮中央通信に紹介された正恩氏の発言にも、対米メッセージはなかった。


ファン・インチャン記者　ワシントン＝イ・ジョンウン特派員 hic@donga.com · lightee@donga.com