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シリコンバレーの空想家たち「目標は宇宙征服」

シリコンバレーの空想家たち「目標は宇宙征服」

Posted July. 13, 2019 09:28,   

Updated July. 13, 2019 09:28

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「ジェフ(Jeff)、いたずらは止めてください」

「(あの人の計画は)魅力的に見えるが、ただの幻想に過ぎません」

やや幼稚にも見えるこの舌戦は、最近テスラ創業者イーロン・マスクとアマゾンの創業者ジェフ・ベゾスの間で行われた。二人はそれぞれのソーシャルネットワークサービス(SNS)と記者会見で、相手を狙って、骨のある冗談を飛ばしながら、大衆の注目を集中させた。

企業首長の実名まで挙げながら、競争企業の政策にいくつかの言葉を飛ばすのは、米国ではある面では一般的なこと。ところが、彼らの舌戦を誘致な神経戦と見るのは難しいような気がする。彼らは「宇宙」について会話したからだ。

「タイタン」は、ワシントンポスト記者出身の著者が、二人をはじめとする億万長者の宇宙事業への挑戦記を描いた。マスクとベゾスを中心に、ヴァージングループのリチャード・ブランソン、今は故人となったマイクロソフトの共同創業者であり、ストラトローンチのポール・アレンなどがなぜ宇宙に絶えずこだわるのかを取材した。インタビューはもちろん、企業関係者、周辺人物から得られた取材過程の裏話までを生き生きと盛り込んだ。なかなかスポットライトの当たらなかった億万長者たちの幼年期を見る味もかなり良い。

突飛な想像で有名な彼らは、共通的に「変人」と呼ばれる。民間企業の資格で宇宙開発を論じる時、誰かは「空想にすぎない」と嘲笑った。しかし、彼らは空想を事業ビジョンとして実現した。彼らを称する他の異名が「革新家」である理由だ。

約10年前にマスクが設立したスペースXの小さなオフィスに集まった何人かの企業家たちが、「NASAが中断したところから道を探すべきだ」として、「PSF」(Personal Spacelight Federation=個人宇宙飛行連合)を設立したエピソードは、無謀というよりは大胆さを感じさせる。コストを削減するために入念に設備価格を論じる姿は、その緻密さに舌を巻くことになる。他の人たちがスーパーマーケットで買い物をするように、宇宙産業の単価を構想する場面は、別世界のような気がして笑いが出るほどだ。

民間企業がこのように自主的にお金をかけて宇宙を開発しようとするなら、政府ではどのような支援を提供することができたのだろうか?残念ながら、政府、特にNASAはかえって邪魔になることが多かった。著者は、政府規制に対抗しなければならなかった彼らの物語に多くの部分を割いた。

例えば、コネによって多くのことが牛耳られていたNASAは、2000年代に入って無能力と無意志の象徴だった。NASAが次々と随意契約でパートナーを選ぶと、マスクはNASAと訴訟戦に突入して勝訴後、競争入札に参加したエピソードは彼の意志を分からせる。

再び最初に戻ってみよう。リスクを冒しても、彼らはなぜ宇宙に没頭するのか。本に照らしてみるとマスク、ベゾスなどは宇宙から鬼のようにお金のにおいをかいだからだ。さらに幼年期に抱えてきた使命感、チャレンジ精神を宇宙という舞台で遺憾なく発揮している。宇宙は「想像できる最大の冒険」になった。

後日、私たちは彼らをどのように評価するだろうか。「信頼できる奴なのか、気違いか?」


キム・ギユン記者 pep@donga.com