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クリスパーで感染病診断、2~3年以内に可能に

クリスパーで感染病診断、2~3年以内に可能に

Posted August. 24, 2018 09:34,   

Updated August. 24, 2018 09:34

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「2~3年以内にクリスパーを利用して感染病を診断したり、DNAに情報を保存できるようになるだろう。遺伝工学の酵母を通じて新薬も生産できるだろう」

クリスパーは、望むDNAを自由自在に切って遺伝子を修正できる次世代「遺伝子はさみ」だ。クリスパーを最初に開発したジェニファー・ダウドナ米カリフォルニア大学バークレー校教授は、東亜(トンア)日報の電子メールでのインタビューで、クリスパーの潜在力は無尽蔵だと強調した。

ダウドナ氏は、「クリスパーはスイス軍が使う『万能ナイフ』のように潜在力がすばらしい」とし、「世界の多くの研究チームが様々な構造のクリスパーを開発しており、これをもとに完全に新たな道具を世の中に出している」と話した。

ダウドナ氏は2012年、研究室の仲間だった、ドイツのマックス・プランク感染生物学研究所のエマニュエル・シャルパンティエ所長と共にクリスパーを初めて考案した。クリスパーは、人間が持つ30億組みの長いDNA塩基配列から望む部位を正確かつ早く探して切り出すことができ、生命科学者から脚光を浴びた。「この6年間、クリスパーが生命科学に与えた影響はそれまでのどの生物学の技術より大きい」と主張する学者もいる。現在、ダウドナ氏はノーベル賞受賞候補トップに選ばれる。

クリスパーは、登場初期から人類の2つの念願である難病と食糧問題を解決してくれる救援投手として注目された。ダウドナ氏は、「ハンチントン病や鎌状赤血球貧血症、黄斑変性で興味深い研究結果が出ている」とし、「今後5年以内に注目する成果が出るだろう」と見通した。ただ、安全性の検証に時間がかかるため、消費者はクリスパーを活用した食糧作物を先に目にするだろう推定した。

食糧作物では、基礎科学研究院(IBS)のキム・ジンス遺伝体矯正研究団長が主導するバナナの改良を印象的な研究に挙げた。キム氏は、「ハワイで幼少時代を過ごし、バナナに馴染みがある」とし、「バナナは世界中で同じなので、感染性病が流行すると危険だが、クリスパーの技術を利用して原因菌(かび)に強い品種を作ることができるだろう」と期待を示した。

 

クリスパーの強大な能力がかえって難病と食糧問題の解決に障害になり得るという指摘もある。遺伝病治療の場合、クリスパーでヒト胚を修正する時、倫理問題が起こる可能性がある。

食糧作物の場合、遺伝工学を利用したこれまでの遺伝子組み換え作物(GMO)とクリスパーの作物を同一線上で見るかどうかについて最近、欧州と日本で論議を呼んでいる。ダウドナ氏は、「安全性と効率性を高め、価格を下げ、クリスパーが人々の暮らしを変える技術になるようにする」と語った。

現在、ダウドナ氏はクリスパーを構成するたんぱく質を新たに変え、ウイルス診断の道具にする研究をしている。現在、最も広く使われるCas9たんぱく質の代わりにCas12aというたんぱく質を利用して、ヒトパピローマウイルス(HPV)を早く正確に診断する技術を開発した。ダウドナ氏は、「子宮頸がんの予防に役立つだろう」と述べ、新たな研究に期待を示した。


ユン・シンヨン東亜サイエンス記者 ashilla@donga.com