パク・ジス(20)は大学受験を数日後に控えた受験生のようだった。まるで一夜漬けでもするかのように出国を控えた先週はトレーニングに打ち込んだ。21日に休暇でがらがらになったKBスターズの天安(チョンアン)体育館でウェイトトレーニングとシュートに励んだ。22日はバスケットボール選手出身の父(パク・サングァン氏)の母校、龍仁(ヨンイン)明知(ミョンジ)大学体育館で汗を流した。「シーズンを終えて3週以上を休んだんです。早く体を作らなければなりません」。
パク・ジスは、この数日間のことが遠い昔のことのように感じる。米国女子プロバスケットボール(WNBA)ドラフトでいきなり指名をされたのが13日のことだ。自分を選んだラスベガスのチーク練習に参加するため、23日に米国に向かう。
「数日間は戸惑いもありましたが、荷造りをしているうちに実感が沸きましたね。全てが初めてなので不安もあります。言葉は通じるのかどうか。こういうことになると分かっていたら頑張って英単語でも覚えて置くべきでしたね。ははは」。それでもパク・ジスは日ごろ、合間を縫って英語の勉強をしながら、新天地への夢を育んできた。中学校の英語教師をしている親戚のアドバイスも受け続けている。
ラスベガスのトレーニングキャンプは29日に始まるが、球団側は早期の適応のためにパク・ジスを早期に招集し、航空券やホテル、車両などを提供することにした。それだけパク・ジスへの期待が大きいことを物語る。
パク・ジスの第一の目標は、来月17日に発表される12人の最終メンバーに入ることだ。その可能性について、「今のところは50%ほどだと思う。米国に行けば100%に引き上げるためにぶつけてみたい」と話した。ヤン・ウォンジュン韓国女子バスケットボール連盟(WKBL)事務総長は、「過去にキム・ゲリョンやコ・アラがWNBAトレーニングキャンプに参加したことがあるが、最終ロースターには入れなかった。彼女たちとは違って、パク・ジスはドラフトを通じて実力を認められたので選出される可能性は高い」と話した。
193センチの長身に16歳の時初めて代表に選出されたパク・ジスは、「ラスベガス球団側から積極的なポストプレーと得点力を求めていると聞きました。どんな役割でもこなしてみせます」と語った。
今シーズンのWKBLで、パク・ジスは外国人選手と韓国人選手を合わせてリバウンド2位(12.9個)にランクされ、ブロックシュートは全体1位(2.5個)。得点は14.2点で10位だった。
先週、日本東京の病院から膝と足首などに異常がないという検査結果を受け取り、壮途につく足取りも軽い。
大型のスーツケース数個を持って行くというパク・ジスに、欠かせない品物について聞いた。「まずは本ですね。英会話や単語を中心に。その次はおかず系です。一緒に同行する母は外国の食べ物が苦手なんです」。
母のことを先に気を使っているパク・ジスは、「自分は東南アジアでも欧州でも、どこに行っても現地の食べ物が良く合うんです。代表チームでインド大会に参加したときは、カレーとナンが本当に美味しかったですね」と笑った。
パク・ジスのインスタグラムには太極旗を両手で持ち上げているような写真が掲載されている。代表チーム時代に鎮川(チンチョン)選手村で撮った写真だ。「国際舞台での競争力をつけてこそ、停滞している韓国女子バスケの人気も盛り返すことができると思うんです。失敗を恐れず、挑戦を楽しみたいです」。
韓国女子バスケの大国柱は、自身の肩にのしかかる重圧さえも耐えられるという自信が漲っていた。
金鍾錫 kjs0123@donga.com