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「金正恩氏追跡」の米軍偵察兵器、在韓米軍駐留経費の負担増額を迫る模様

「金正恩氏追跡」の米軍偵察兵器、在韓米軍駐留経費の負担増額を迫る模様

Posted May. 06, 2020 08:09,   

Updated May. 06, 2020 08:09

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健康不安説が浮上した北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長を追跡する「情報戦」で実力を発揮した米軍の偵察兵器が今後、韓米の在韓米軍駐留経費負担に関する特別協定(SMA)交渉で、米国の圧力カードになり得るという観測が流れている。韓半島に展開した米軍の偵察兵器をめぐって、米国が「韓国を助けた」と主張する可能性があるため、政府が適切な対応の論理を準備しなければならないという声も出ている。

 

先月11日に政治局会議に出席した後、姿を見せなかった正恩氏の動静を把握するうえで米軍の情報兵器が役割を果たしたということに韓米で意見の相違はない。正恩氏が1日、平安南道順天(ピョンアンナムド・スンチョン)の肥料工場の竣工式に出席するまで動静が分からなかった20日間、少なくとも8種類の米軍の偵察機が約50回展開し、北朝鮮内の動きを監視したという。先月27日の1日だけで、偵察機5機が韓半島上空に出撃した。盗聴任務を遂行する米陸軍ガードレール(RC-12X)3機、移動式発射台(TEL)の動きを監視するジョイントスターズ(E-8C)1機、北朝鮮の砲兵を主に監視するクレージーホーク(EO-5C)1機など構成も多様だった。正恩氏が肥料工場を訪れた1日にも、4機の偵察機が韓半島に投入された。米軍の監視の結果の一部は政府にも伝えられ、政府は独自の情報を加えて「北朝鮮内に特異な動向はない」と確信した。ある外交筋は、「正恩氏の動静を把握するために、米軍の北東アジア偵察兵器の相当数が韓半島に投入された」と伝えた。

 

問題は、米軍の偵察兵器の頻繁な展開が韓国の在韓米軍駐留経費の負担増額の必要性を強調するトランプ米大統領に「好材料」として作用し得るということだ。韓米実務陣が3月末に辛うじて、△韓国人従業員の人件費、△軍事建設費、△軍需支援費で構成された既存のSMAの枠組みを維持した暫定合意案を導き出したが、トランプ氏がこれを拒否した。また別の外交筋は、「交渉が事実上原点に戻った状況で、偵察兵器が韓国を助けたということをトランプ氏が集中的に取り上げる可能性が提起されている」と指摘した。実際に米国の交渉代表のジェームズ・ディハート国務省補佐官は、交渉をめぐる韓米の対立が最高潮に達した昨年11月、「韓国が自主的に開発できず米国が提供する『補完戦力』も(駐留経費負担増額の要因に)含まれる」と強調した。

 

政府は、このような要求が再度交渉のテーブルに上っても受け入れられないという立場だ。外交当局者は、「米国が(偵察兵器の活用と関連した)要求を今後持ち出すかどうかまだ分からない」としつつも、「そうだとしてもSMAという交渉原則があるので受け入れられないという立場に変わりはない」と強調した。

専門家も、米国が圧力を加えてくるとしても韓国が反論する余地が十分あるとし、対応づくりをするよう口をそろえた。峨山(アサン)政策研究院の車斗鉉(チャ・ドゥヒョン)首席研究員は、「米軍の偵察兵器を通じて得た情報は韓国にも役に立ったが、米国が韓半島での安保リスクを減らすための用途にも活用されたのではないか」とし、「韓国に偵察兵器の追加展開費用を全て負担させることは適切でないという論理立てをしなければならない」と指摘した。世宗(セジョン)研究所のウ・ジョンヨプ研究企画本部長は、「米国はこれまでも韓半島に偵察兵器を展開してきたので、今回正恩氏の健康不安説が流れた時だけ偵察兵器の効果があったと主張することは正しくない」と主張した。


韓基渽 record@donga.com · 申圭鎭 newjin@donga.com