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不動産政策、これが現政府の能力だ

Posted December. 26, 2019 08:16,   

Updated December. 26, 2019 08:17

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先月行われた国民との対話で、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が「不動産価格は安定している」と語った瞬間、はらわたが煮え繰り返る思いをした人は多かった。ソウル市民は、借家として住んでいる自分の賃貸マンションは3、4年の間販売価格が50%以上値上がりし、知人の住宅価格は5億〜10億に跳ね上がっているのを目の当たりにした。この上昇気流に乗り遅れた多くの市民と青年たちは「もう永遠にソウルでのマイホームは無理だ」と絶望している。首都圏にマンション分譲の情報があると終電にでも乗り込みたい気持ちの人が殺到して187世帯の分譲に2万人が申し込む状態だ。一体、大統領の目と耳を塞いだのは誰だ。

政府与党は過去10年、不動産を景気浮上のテコ入れにしようと保守政権が大幅規制緩和を行なった結果、2015年から住宅の価格が高騰したと言った。確かにそうだ。しかし、2017年から今年、値上がりした不動産価格には弁解の余地もあるまい。政府が不動産市場政策を誤り、余計に弄った結果ではないか。

政府は、この2年半の間、不動産対策を18回にわたって打ち出した。しかし、住宅価格はどんどん上がっていき、その間ソウル市の中くらいのマンション価格は6億ウォンから8億7000万ウォンに跳ね上がった。2億7000万ウォンというのは普通の人が10〜20年間一生懸命働いても稼ぐことのできない大金だ。公共機関である韓国鑑定院の場合ソウルのマンション価格は平均10%値上がりした。しかし、KB国民銀行は20%値上げしたという。機関毎の観測値に大きな差があること自体、問題だ。正しい統計なしに正しい政策を打ち出すことはできない。

多住宅所有者も以前より増えた。昨年の多住宅所有者は220万人、前年比7万3000人増だ。政府は2017年一般人の貸付を減らし、税金を値上げ、本当の意味で多住宅所有者の賃貸事業者には多くの優遇措置を与えた。非難する声が打ち寄せられると、今回の12・16対策によって優遇措置を少し減らしたものの彼らが家を手放せるだけの誘引策には全く届かない。賃貸事業者は一定期間の保持義務まであるので「売り物件の足止め」の原因となる。

最近数年、カナダ、オーストラリア、ニュージランド、シンガポールなど世界各国では中国人の投資が引き金で住宅価格が暴騰、外国人の規制を強化した。韓国もソウルの江南とマ・ヨン・ソン地域(麻浦{マポ}区、竜山{ヨンサン}、城東{ソンドン}区)に5年間1万件以上のマンションが外国人に買われたという報道があったが、政府は実態把握もできていない。外国人は貸出規制の対象にならないので、返って韓国の国民が逆差別を受けている。

ソウルには無住宅世代が200万と全体の5割を超える。全国の住宅普及率100%を超えたとはいえ、ソウルの場合、古くなった住宅は滅失の状態だし、国民が欲しい新築のマイホームは相変わらず足りない。「マイホーム」への願望を満たすためには、多住宅所有者に家を手放すよう仕向けるか、再建築・再開発を活性化するなど国民が願うところに望むだけの住宅をさらに供給すべきだ。

多住宅所有者の保有税金を引き上げ、貸出を控え、ギャップ投資を狙うような投機性需要を抑制すべきだ。しかし、これまで政府の対策は適時適切に行われていたのか疑問だ。省庁間不協和音を出したり、住宅が値上がりした後の泥縄式対応ではなく、省庁を超えて協力し先に手を打っていかなければならない。一部で不労所得を容認していると非難されても人間の心理と市場の力を巧みに利用した精巧な政策が必要だ。

人口の半分が住んでいる首都圏で今のように不動産価格が急ピッチで値上がりすると、いくら最低賃金を引き上げ、不平等を緩和しても庶民の生活は一向に改善しない。全て出来る限りの手段を動員して不動産価格を安定させ、庶民のマイホーム入手を支援すべきだ。国民は善意だけを持ち合わせた政府でなく、実際の民生安定を果たしてくれる「実力」を持った政府を求めている。今後の不動産動向は現政府の政策力を見せつける一つの試金石となる。


申然琇 ysshin@donga.com