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韓半島はすでに「トランプ台風」の影響圏

韓半島はすでに「トランプ台風」の影響圏

Posted March. 28, 2024 08:53,   

Updated March. 28, 2024 08:53

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ハンガリーのオルバン・ビクトル首相が今月初めに訪米し、トランプ前大統領の米フロリダ州の自宅「マール・ア・ラーゴ」を訪れて会談した。オルバン氏は会談後、「トランプ氏がウクライナ・ロシア戦争を終わらせるための非常に詳細な計画を持っていた」と話した。トランプ氏は「自分が復帰すれば一銭も与えないだろう。そうすれば戦争は終わるだろう」と言ったという。米国がウクライナに金を与えなければ、欧州も資金を出せず、最終的に戦争は終わるということだ。

トランプ氏は昨年から「私が大統領なら24時間以内にウクライナ戦争を終わらせることができる」と公言してきた。オルバン氏の伝言通りなら、トランプ氏の「24時間内終戦」の魔法とは、結局、ウクライナへの支援を断ち切り、ロシアとの休戦交渉を強制する非常に簡単な方法だ。実際、ウクライナを犠牲にするこのようなトランプ式解決策はすでに作動している。ウクライナ支援を含む安全保障予算パッケージが米議会に縛られ、いつ処理されるか分からない状況だからだ。

トランプ氏はすでに再選の可能性だけで世界秩序を揺さぶっている。欧州諸国はすでにトランプ氏の北大西洋条約機構(NATO)脱退という悪夢に悩まされている。各国が慌てて国防費を増やしているが、これまで司令部組織と戦力、情報まで米国に全面的に依存してきた欧州が短期間で独自の統合防衛を備えることはできない状況だ。そのような中、オルバン氏のような「リトルトランプ」が親ロシア路線を強化し、欧州内部の分裂を煽っている。

トランプ氏による揺さぶりは欧州に限ったことではない。トランプ-オルバン会談に同席したフレッド・フライツ元大統領補佐官は、米政府系放送局ボイス・オブ・アメリカ(VOA)に出演し、「トランプ氏が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記との個人的な外交を再開することは明らかだ」と話した。その上で、トランプ氏が正恩氏にウクライナ戦争用兵器のロシア供給の中断を説得すれば、「重要な成果になるだろう」と指摘した。トランプ氏が北朝鮮とロシアの2人の独裁者を相手に「3角ゲーム」をすることができるという話だ。

このように、第2期トランプ政権発足後、米朝交渉の再開は決まったかのようにみえる。しかし、5年前のトランプ氏との取引で苦しさを味わった正恩氏が簡単に応じるか否かは未知数だ。そのため、北朝鮮に与える「プレゼント」も取り沙汰されている。VOAに共に出演したリチャード・ロリス元国防部副次官は、「北朝鮮は事実上、核兵器保有国だ。そのような認識がすべての議論の出発点だ」と話した。北朝鮮をインドやパキスタンのような「非公式核保有国」として認めることで、北朝鮮を交渉のテーブルに引き出すことができるということだ。

このようなすべての議論は、第2期トランプ政権の国防長官候補1位に挙げられているクリストファー・ミラー元国防長官代行が最近、東亜(トンア)日報のインタビューで明らかにした北朝鮮核の現実論と合致している。ミラー氏は、北朝鮮の核を「ランプから出てきたジーニー」に例え、「これからは期待ではなく、現実に基づいて交渉しなければならない」と話した。ミラー氏は、「北朝鮮の核凍結・制裁緩和」交渉論について「検討に値する」とし、北朝鮮の核を容認する結果を生む可能性のある軍縮交渉論にも「私は『なぜダメなのか』に賛成する方だ」と話した。

トランプ氏が当選する可能性は依然として半々だ。しかし、韓半島はすでに「トランプ台風」の影響圏に入った。トランプ1期目を振り返ってみると、トランプ氏が唐突に投げかけた無謀な発想が実現されたことはあまりない。本当につらいのは、トランプ氏の気まぐれと奇行、予測不可能な不確実性だった。トランプ2期目は乱暴な秩序破壊、極端な価値観の転覆を予告している。米国の「核の傘」に依存している韓国としては、原則と価値観と同様に、冷静な現実認識の下、柔軟性と敏捷性で武装しなければならない。米大統領選挙は7ヵ月後に迫っている。