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北朝鮮、ジュエ氏に「朝鮮の新星・女将軍」の尊称、後継者を念頭に偶像化か

北朝鮮、ジュエ氏に「朝鮮の新星・女将軍」の尊称、後継者を念頭に偶像化か

Posted November. 29, 2023 08:58,   

Updated November. 29, 2023 08:58

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北朝鮮の幹部らを対象にした内部講演で、金正恩(キム・ジョンウン)総書記の娘のジュエ氏が、「朝鮮の新星・女将軍」と呼ばれたことが確認された。過去、金日成(キム・イルソン)主席の初期革命活動を宣伝する過程で登場した「朝鮮の新星」という表現が、北朝鮮の「最高尊厳」の子女に付けられたことで、事実上、正恩氏の後継者を念頭に置いたジュエ氏の偶像化が本格化するのではないかという観測が流れている。

自由アジア放送(RFA)は28日、平壌(ピョンヤン)のある消息筋によると、北朝鮮の軍事偵察衛星「万里鏡(マンリギョン)1号」の成功を祝うため、党組織指導部が23日に平壌市党・国家保衛省・社会安全省の幹部を対象に開いた記念講演会にこのような表現が登場した、と伝えた。講演会では、「宇宙強国時代の未来は、『朝鮮の新星・女将軍』によって今後さらに輝くだろう」という発言があったという。

ジュエ氏は昨年11月18日、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星(ファソン)17」の発射時に初めて登場し、「愛するお子様」と呼ばれた。その後、「尊いお子様」と呼称が格上げされた。北朝鮮は通常、「太陽」を指導者とし、「星(新星、光明星)」を後継者を意味する象徴として使ってきたが、「新星」の尊称がジュエ氏に付けられたのだ。正恩氏も幼い頃、北朝鮮内部で「新星将軍」と呼ばれていたが、2009年1月に後継者に内定した後は「金大将」と呼ばれ、金正日(キム・ジョンイル)総書記の死後は「偉大な領導者」という尊称が付けられた。

2016年に脱北した与党「国民の力」の太永浩(テ・ヨンホ)議員は、「北朝鮮が衛星打ち上げの成功を正恩氏の10代の娘を神格化、偶像化するために利用しているのなら、指導部最高位層でジュエ氏を後継者に任命する内部手続きを終えたことを意味する」と指摘した。

政府は、この発言が事実である場合、ジュエ氏に対する偶像化と判断しているという。統一部関係者は、「尊称が実際に使用されたかどうかを把握するのが先決」としながらも、「後継者構図に関してはあらゆる可能性を開いて関係機関と注視している」と伝えた。

昨年11月に登場したジュエ氏は、1年間で北朝鮮の公開報道に18回も姿を現し、後継者とみられるような振る舞いをしてきた。今年9月9日、北朝鮮の政権樹立日記念軍事パレードで、 主席団に座ったジュエ氏に軍序列2位の朴正天(パク・ジョンチョン)軍政指導部長が膝をついて話しかける姿が公開された。これに対し、金暎浩(キム・ヨンホ)統一部長官は、「(後継者時代)呉振宇(オ・ジンウ)人民武力部長が金正日総書記にひざまずくシーンが、朴軍政指導部長がジュエ氏にひざまずくシーンへと、同じように繰り返されている」と強調した。

北朝鮮が火星17を発射した11月18日を「ミサイル工業節」に制定したのも、ジュエ氏の初登場を記念する狙いがあるとみられる。ある北朝鮮専門家は、「正恩氏の妹の金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長もできなかったジュエ氏の軍事パレードの『単独ショット』が、労働新聞に報道されたこともある」と話した。

ただ、正恩氏の長男の存在が不確かなため、ジュエ氏を後継者に特定するのは時期尚早という見方もある。2017年、正恩氏に長男がいると国会情報委員会に報告した国家情報院は、今年3月、「正恩氏の第1子が息子という情報があり、引き続き確認中」と明らかにした。統一部は、「ジュエ氏以外に子どもの有無は確認されていない」としている。


申圭鎭 newjin@donga.com