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愛犬と225キロ…ウクライナ61歳男性がロシア占領地を脱出

愛犬と225キロ…ウクライナ61歳男性がロシア占領地を脱出

Posted May. 16, 2022 09:03,   

Updated May. 16, 2022 09:03

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3月初めにロシア軍が封鎖したウクライナ南東部の要衝地マリウポリの61歳の男性が、ロシア軍の爆撃のリスクにもかかわらず、一匹の愛犬をつれて225キロ離れた南部ザポリージャに脱出した。

英紙ガーディアンは13日、1面トップ記事に、料理人だったイゴール・ペディンさんのマリウポリ脱出記を紹介した。ロシア軍がマリウポリの各地にミサイル攻撃を加え、食べ物や水が底をつくと、ペディンさんは先月23日、生活必需品が入ったカバンを持って、9歳の愛犬「ジュジュ」と家を出た。激しい戦闘で道路のあちこちが破壊され、死体も転がっていた。爆発音が聞こえ、装甲車が通り過ぎる度に、振動を全身で感じなければならなかったが、気にすることなく歩くことに集中した。

ペディンさんは初日、マリウポリから20キロ離れたニコルスキーのある村に到着した。そこでロシア軍によって16歳の息子を失ったという父親に会った。ペディンさんは、「15年前酒を断ったが、『今日息子を埋葬した』と話す父親の前で酒を拒めなかった」とし、ウォッカを飲みながら多くの話を交わしたと話した。

 

ペディンさんはその後、ザポリージャに到着するまで、多くの検問所を通過しなければならなかった。軍人にどこかに連れて行かれたり、たびたび脅迫にあったりもしたという。残酷で悪名の高いチェチェン軍の検問所を通過する時は、「胃潰瘍を患い、治療のためザポリージャに行くところだ」と言い逃れた。

 

ザポリージャに行くために必ず通らなければならない橋を通過する時は、橋が一部破壊され、足を踏みはずせば30メートル下に落ちるかもしれなかったとも語った。多くの苦難の末、橋を渡ると、分かれ道が現れた。ペディンさんは、どちらの道がザポリージャに行く道かわからなかったが、あるトラック運転手が突然、ペディンさんの前に立ち止まり、トラックに乗せて2時間ほど行き、ウクライナ国旗が見えるザポリージャの郊外で降ろしてくれた。車中で何も話さなかったこの運転手は、ザポリージャに到着すると、ペディンさんに1千フリヴニャ(約5万ウォン)を渡し、「幸運を祈る」と言ったというエピソードも紹介した。

ペディンさんは、ザポリージャ到着後、ボランティアのいるテントの中に歩いて入った。マリウポリから来たと言うと、テントの中のすべての人が自分を見た。「栄光の瞬間だった」と振り返った。


イ・チェワン記者 chaewani@donga.com