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韓国銀行が世界的な中央銀行の新ゴールドラッシュに参入できなかった理由

韓国銀行が世界的な中央銀行の新ゴールドラッシュに参入できなかった理由

Posted April. 25, 2024 08:53,   

Updated April. 25, 2024 08:53

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「他のところでは金を買いだめしていた時、何をしましたか?11年以上も金の購入を無視している理由は一体何ですか?」。今年の第22代国会初の国政監査で、韓国銀行の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁に対し、このような叱責が殺到しそうだ。金の価格があまりにも高騰したためだ。米ニューヨーク商品取引所で、2022年11月に1オンス当り1618.3ドルだった金の先物価格は、今月12日(現地時間)は1オンス=2448.8ドルまで上がった。1年5ヵ月ぶりに51%以上も上昇したことになる。実際、同期間、各国の中央銀行は攻撃的に金を買い入れた。

世界金協会(WGC)によると、各国の中央銀行は2022年と2023年にそれぞれ1082トン(過去最大)と1037トンの金を買い入れた。2016~2021年の年平均買入量(457トン)の2倍以上を毎年集めたのだ。特に中国は2022年11月以降、17ヶ月連続で金を買い入れている。同期間に買い入れた金だけで314トンに達する。

このような新ゴールドラッシュを、韓銀はただ見守っていた。痛い記憶のためだ。2010年の国会国政監査で、金仲秀(キム・ジュンス)韓銀総裁は、13年以上もそのままの金保有量(39.54)を増やさなければならないという指摘を受けた。欧州の財政危機が拡散し、金の価格が高騰した時点だった。当時、韓国の外貨準備高で金が占める割合は0.2%に過ぎなかった。その後、韓銀は2011年から2013年初めまで金90トンを集中的に買い入れた。

だが、2013年10月、国政監査場で、「金を愛した総裁」と呼ばれた金元総裁は、「後の祭りの投資」をしたとし、もう一度厳しく叩かれた。韓銀の金投資後、金価格が急落し、約1兆2000億ウォンの評価損失(マイナス21.5%)を被ったという理由からだ。当時、民主党の金賢美(キム・ヒョンミ)議員は、「韓銀は金の価格もまともに予測できず、国家的損失を与えた」と追い詰めた。金元総裁は冷や汗を流しながらも、「10年後を見て悩んだ」と話した。

本当に数年が経って金の価格が上がると、当時韓銀の金投資が再評価されている。しかし、あの時に受けたトラウマは依然として残っているようだ。現在、韓銀の金保有量は104.4トンで、11年間そのままだ。外貨準備高で占める割合は、昨年末基準で1.52%に過ぎない。中国(2235.4トン)と日本(846.0トン)はそれぞれ4.33%と4.37%で、経済規模が似ている台湾(423.6トン)も4.32%に達する。

このため、昨年から金保有の割合を高めなければならないという指摘が地道に出てきた。それでも韓銀外資運用院は、昨年6月に発表した「保有金の管理現状および今後の運用方向性」で、「金保有の拡大よりは、米ドルの流動性を十分に供給できることのほうが良い選択だ」と聞き入れなかった。当時、金の価格は1オンス当たり2000ドルの水準で前のピークに近づき、今後の上昇余力が不確実だという韓銀の予測も見事に外れた。これが古いトラウマのせいでなければ、足りない実力のせいにするしかない。

今のように地政学的リスクが大きくなる状況では、資産多角化のレベルで長期的に金保有の割合を一定の水準にまで拡大し、為替相場の安定性を高める必要がある。今後、米国連邦準備制度(FRB)の基準利引き下げと米大統領選挙後の「米国優先主義」基調強化の可能性、それにともなうドルの切り下げまで考慮しなければならない。

一歩遅れて金の買いだめの行列に飛び込めということではない。価格変動性が大きいだけに、以前のようにピーク時に買い溜めすることになれば、トラウマだけがさらに悪化する恐れがある。今からでも、金投資の原則と方向性について全面的に見直さなければならない。金価格の流れをもう少し精巧に予測し、戦略的に買い入れ時期を判断しなければならない。