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跳ねるテニスボールのように、3人の男女の愛と憎しみ

跳ねるテニスボールのように、3人の男女の愛と憎しみ

Posted April. 23, 2024 08:30,   

Updated April. 23, 2024 08:30

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現在、米ハリウッドで最も売れている女優を挙げるなら、ゼンデイヤ(27)を外すことはできない。13歳の時にディズニープラスのオーディションプログラムでデビューした彼女は、映画「スパイダーマン」のMJ、「デューン」のチャニなどブロックバスター映画の主人公を演じ、人気を博している。クールで自信に満ちた態度で米国のMZ世代の「ワナビー」スターとして愛されている。

ゼンデイヤは24日に公開される映画「チャレンジャーズ」で新しい分野の演技に挑戦した。クィア映画「君の名前で僕を呼んで」(2017年)で韓国国内でも認知度が高いルカ・グァダニーノ監督の新作だ。ゼンデイヤは、天才テニス選手だったが怪我で引退し、夫のコーチになったタシを演じる。

タシは青春時代から注目されたテニスの女王。順風満帆に見えたタシの未来は、膝の怪我で一瞬にして崩壊してしまう。そんなタシの傍らには、幼い頃から彼女に思いを寄せていたアート(マイク・ファイスト)がいる。アートは、世界的なテニス選手に成長し、タシはアートのコーチ兼妻となり家庭を築く。しかし、平穏な日常は長くは続かない。アートの幼なじみで、タシをめぐってライバル関係にあったパトリック(ジョシー・オコナー)が再び現れ、2人はプライドをかけた勝負を繰り広げる。

映画は予測不可能な方向に跳ね返るテニスボールのようだ。グァダニーノ監督の前作「君の名前で僕を呼んで」が日常を揺るがす甘酸っぱい初恋を描いたのに対し、「チャレンジャーズ」は愛と憎しみ、欲望と現実が混在する複雑な人間の内面を描いている。緊張感あふれる3人の男女の関係を、リズミカルな音楽と速いテンポのテニスの試合のシーンで視覚化した演出が印象的だ。テニスボールがカメラに変わり、2人の男たちの間を行き来するアングルは、監督が表現したかった感情をセリフなしで正確に伝えている。


崔智善 aurinko@donga.com