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ラストベルトの「ミサイルマン」帰還、韓国は準備ができているのか

ラストベルトの「ミサイルマン」帰還、韓国は準備ができているのか

Posted April. 20, 2024 08:23,   

Updated April. 20, 2024 08:23

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米国経済は内需が牽引している。昨年の第4四半期(10~12月)基準、個人の消費支出が国内総生産(GDP)の68%を占める。つまり、米消費者の利便性が大きくなければ経済が成長しない。消費者の立場からすれば、米国製に比べて安い海外商品があふれるのは良いことだ。

問題は、米国の生産者、特に白人労働者層がこの命題を受け入れ難いことにある。彼らも一方では消費者だ。しかし、彼らは「失業者になるかもしれない。安いものがあっても買う金がない。何の役にも立たない」と抗弁する。

米国の製造業のメッカだったが、自由貿易とグローバリゼーションの余波で衰退した工業地帯「ラストベルト」には、このような考えを持つ人が多い。直接経験した現実なので、経済学的事実を持ち出しても受け入れない。一種の「確信犯」だ。

11月の大統領選挙でトランプ前大統領が再選した場合、通商政策を管轄することが確実視されているロバート・ライトハイザー元米通商代表部(USTR)代表も同様だ。ライトハイザー氏は、ラストベルトのオハイオ州アシュタビューラで生まれ育った。鉄鋼業が発達したアシュタービュラは、1960年代に約2万4千人だった人口が約3分の2にすぎない約1万7千人に減少した。本人は医師である父親のおかげで裕福な生活を送ったが、故郷がどのように没落したのか、隣人や知人がどのような苦しみを味わったのかを目の当たりにした。

ライトハイザー氏は、自由貿易は想像の中に存在する概念であり、中国は米国の敵だと確信している。安価で過剰生産された中国製製品が溢れれば溢れるほど、米国の労働者の生活は悪化し、このように中国経済に依存し始めると米国の民主主義も脅かされるという信念が貫かれている。低価格、資源の効率的な配分、規模の経済の達成といった自由貿易の利点は、経済学の教科書には書かれているが、現実は違うというのがライトハイザー氏の一貫した主張だ。

ライトハイザー氏がトランプ氏の再選時、1985年の「プラザ合意」を再び推進するとの報道が相次いでいる。当時、日本、旧西ドイツなどに対する貿易赤字に苦しんでいた米国は、ニューヨーク・マンハッタンのプラザホテルで円、マルクなどの価値を人為的に高くするよう圧力をかけ、合意を成立させた。

特に、USTRの若手のやり手だった38歳の血気盛んな公務員のライトハイザー氏は、日本側関係者が初期に提示した交渉案が気に入らないとし、この文書で紙飛行機を折ってこの関係者の目の前で飛ばした。ライトハイザー氏に「ミサイルマン」というニックネームが付いた理由だ。

韓国はプラザ合意当時、意図せぬ恩恵を享受した。日本との輸出競争品目が多い状況で円の価値が上昇したことで、相対的に韓国製輸出品の価格が安くなったおかげだ。今は違う。米国が「第2プラザ合意」を推進すれば、覇権争いや貿易戦争中の中国、円安が続く日本はもとより、10位圏の経済大国に成長した韓国も激しいウォン切上げ圧力を受けるという分析が支配的だ。

一番怖いのは、「やったから知っているけど...」を連発する人だ。経済的な威容だけを見れば、39年前の日本の地位は今の中国に劣らなかった。そんな日本を屈服させたライトハイザー氏だ。韓国をどれだけ追い詰めるのか、今からゾッとする。好むと好まざるとにかかわらず、経済的には中国と密着するしかない韓国の事情を大目に見ないことは明らかだ。極端な対立と分裂に陥った韓国が、ライトハイザー氏と相対する準備ができているのか、暗澹たる思いだけだ。