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ロボット審判時代の人間審判、人工知能時代の人間知能

ロボット審判時代の人間審判、人工知能時代の人間知能

Posted April. 18, 2024 09:03,   

Updated April. 18, 2024 09:03

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「私が彼の名前を呼んだ時/彼は私のところに来て/花になった」

詩人の金春洙(キム・チュンス)が代表作「花」に書いたように、野球でも球審がストライクを叫んでこそストライクはストライクになる。実際、韓国野球委員会(KBO)の公式ルールは、「審判員が『ストライク』と宣言したもの」をストライクと定義する。どのボールがストライクかどうかを判断する権限は、明らかに人間にあった。

前の文章を過去形で書いたのは、KBOがよく「ロボット審判」と呼ぶボール・ストライクの自動判定システム(ABS)を今年から導入したためだ。KBOは、ABS運営の細部規定を発表し、「人間審判は、ABSの結果に介入できない」とクギを刺した。ロボット審判がストライクかどうかを判断して伝えれば、人間審判はイヤホンから受け取って宣言する「挙手機」の役割さえうまくやれば良いという意味だった。

人間審判の地位変化を見せるシーンが14日、大邱(テグ)での試合から出た。ロボット審判はこの試合の3回裏、NCのイ・ジェハクがストライクゾーンの角に投げたボールをストライクと判断した。しかし、人間審判の手は上がらなかった。昨年までは、大きな議論が起きることなどないシーンだった。球審がストライクではないと判断しても、おかしなボールではなかったからだ。

今年は違った。NCのカン・イングォン監督がベンチから出てきた。KBOが提供したタブレットPCの画面に、ABSがこのボールをストライクだと判断したと出ていたのだ。問題は技術的理由で、イ・ジェハクがさらに3回ボールを投げた後になってこの事実を確認したということだ。

この試合の審判4人は、会議を経た後、「アピールの時効が過ぎた」として抗議を棄却した。試合がすでに行われただけに、これを退けることはできないということだった。会議の過程で一人の審判が、「(ABSが)ボールと認識したと言ってください。私たちが抜け出す(方法は)それしかないんだ」と話すシーンが、テレビの中継カメラに撮られた。

野球ルールは、人間審判を「グラウンドの中での野球の唯一の代表者」と褒め称える。しかし、ロボット審判の前で、合計経歴98年の人間審判4人は、嘘で状況を覆い隠すことに汲々とした。事実、判定精度が99.9%を誇るロボット審判の前で、人間審判は小さくならざるを得ない存在だ。

他の分野の事情はどれほど違うのだろうか。人工知能(AI)は生産性は言うまでもなく、今や創意性でも人間知能をリードし始めている。ヒット曲の製造機と言われた作曲家のキム・ヒョンソク氏は、公募展で自分が1位に選んだ歌の作曲家がAIであることを知り、虚しさをソーシャルメディア(SNS)に投稿したことがある。

今このコラムのテーマも、AIに「2024年4月18日付の東亜(トンア)日報『光化門(クァンファムン)で』に、スポーツ部次長が発題しやすいアイテムを教えてくれ」と尋ねて手にしたものだ。では、この文章はスポーツ部次長が書いたのだろうか、それともAIに任せたものだろうか。AIにこれを判断してほしいと言うと、「AIにとってそれはただ一つのデータに過ぎなかった。それは人間に届いて文章になった」という答えが返ってきた。あまり驚くことはない。「『花』を引用して結果を知らせてほしい」という人間の指示をAIがよく従った結果だからだ