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革新のアイコン、アップルの裏切り

Posted March. 30, 2024 09:02,   

Updated March. 30, 2024 09:02

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最近オンライン上のコミュニティに、「アイフォーンを使う娘、ギャラクシーを使う母親」というタイトルの書き込みが一つ掲載された。母親は、娘の中学校入学を記念してアイフォーンを買ってあげた。中古製品を買ってあげたのに、娘がとても喜んで大事にしたという。ところが、予期せぬ問題が起きた。母親はギャラクシースマートフォンを使っていたため、アプリでアイフォーンを統制することができなかった。有料制御アプリも無駄だった。母親は仕方なく、アイパッドを中古で購入(アイフォーンを買おうとしたが、アイフォーンは中古も高すぎたという)、アップルのユーザー名を作った後、娘のアイフォーンの使用を制御することができた。

アイフォーンの閉鎖性により、母親としては浪費を余儀なくされた。逆に、メーカーのアップルはさらに金を稼ぐことができる。結局、米法務省がこのようなアップルの行動に鉄槌を下す作業に突入した。最近、アップルを相手に反独占法違反の訴訟を起こしたのだ。

メリック・ガーランド法務長官のブリーフィングに、アップルの閉鎖的行動がそのまま現れている。アップルは、ギャラクシーなど他のスマートフォンのアプリ機能を落とし、アップルではなく周辺機器の性能も阻害した。例えば、アイフォーンのユーザーが非アイフォーンユーザーにメッセージアプリを利用してメッセージを送れば、緑色で表示される。会話が暗号化されず、動画の画質が低下し、メッセージを修正することもできない。

アイフォーンユーザーが、他のスマートフォンを利用する友人とメッセージや動画などをやりとりすれば、不便を感じるほかはない。これはすなわち、「アイフォーンではないスマートフォンは品質が良くない」という感じにつながる。問題はアイフォーンにあるにもかかわらずだ。ガーランド長官は、「アップルは優秀な製品で競争でリードしたのではなく、反独占法を違反してスマートフォン市場で独占を維持してきた」と厳しい忠告をした。

ブリーフィングでは、2022年、米カリフォルニア州のカンファレンスであったエピソードも紹介された。一人の出席者がアップルのティム・クック最高経営者(CEO)に対し、「他のスマートフォンとメッセージをやりとりする方法を変えるつもりはないか。他の意味があるのではなく、母親に動画を送ることができないからだ」と質問した。するとクックは、「母親にアイフォーンを買ってあげなさい」と答えた。多分冗談だったのだろう。しかし、米法務省の提訴内容を知ってからは、これ以上冗談とは聞こえない。

クックは、アップルの創業者スティーブ・ジョブズの説得で、1998年アップルに加わった。ジョブズがカリスマあふれる天才スタイルなら、クックは几帳面な管理者スタイルだった。そのため、クックが2011年、アップルのCEOになった時、期待より懸念の視線が圧倒的に多かった。

しかし、記者はクックを非常に高く評価した。2014年、自分が「ゲイ」という事実を勇気を持って公開したのがきっかけだった。彼はブルームバーグに投稿した文で、「ゲイである理由で、少数集団に属するということがどんな意味なのか理解できたし、少数者の苦情も深く覗くことができた」と明らかにした。彼は多様性や平等、女性雇用などを強調し、包容力を示した。革新のイメージを持っていたアップルに、暖かさまで吹き込んだ感じだった。

そのようなアップルが、閉鎖的生態系で独占的地位を維持したという事実に大きな裏切りを感じる。欧州連合(EU)もまた、反独占法違反で今月初め、アップルに対し約2兆7000億ウォンの課徴金を課したことを見れば、裏切りに対する共感は世界中に広がりそうだ。ジョブズが2007年、アイフォーンを発売してから17年ぶりに、アップルは最大の危機に直面するかもしれない。アップルの成長エンジンだった閉鎖性が、今や最大の悩みの種になったのだ。韓国企業もやはり、「壁に囲まれた庭園」を作っていないか振り返ってみる時だ。