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先端技術人材の「海外不法離職」を放置する政府

先端技術人材の「海外不法離職」を放置する政府

Posted March. 05, 2024 08:39,   

Updated March. 05, 2024 08:39

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先端産業分野の人材不足問題が深刻化する中、韓国内大企業の社員が虚偽の理由で退職し、より良い条件を提示する海外のライバル企業に転職し、核心技術を流出させるケースが増えている。職員が退職した企業は、ライバル会社に転職したことすら知らない場合が多く、後で知って訴訟を起こしても、長引く裁判手続きなどのために人材流出を遮断する効果はないという。

サムスン電子で5G移動通信用半導体開発チームを率いていたA氏は昨年9月、育児と家事を理由に退社した後、4日後にライバル企業の米クアルコムに転職した。この事実を6ヵ月後に知ったサムスン電子は、裁判所に転職禁止仮処分申請を出したが、裁判所から離職禁止決定が出たのはそれから8ヵ月後のことだった。LGディスプレイの有機発光ダイオード(OLED)関連事業戦略チーム長だったB氏は、昨年5月に退社し、「協力会社に転職する」と話したが、実際はライバルの中国TCLに移った。LGディスプレイは4ヵ月後に訴訟を起こし、退社後7ヵ月後にようやく離職禁止の決定が下された。

問題は、職員が嘘をついて海外のライバル会社に転職しても会社が確認するのが難しく、後で転職の事実を確認しても仮処分申請以外に対応する手段がないことだ。しかも、裁判所が技術的な問題まで絡んだ仮処分申請を処理するのに長くて1年以上かかる。会社が勝訴したとしても、裁判所が下す転職制限期間が1~2年にすぎず、事実上効力がないという。

このような問題のため、産業通商資源部は昨年8月、国家先端戦略産業法に基づいて「専門人材」を指定・管理する制度を導入すると発表した。先端戦略産業企業の職員のうち、中核人材を専門人材として政府が指定すれば、企業は彼らと秘密流出防止、海外転職制限を約束する契約を結ぶことができる。技術の海外流出が懸念される場合、政府に当該職員の出入国情報の提供も要請できるようになる。しかし、言葉だけで、これまで政府は何の追加措置も取っていない。

一方、台湾が自国の半導体技術者の中国企業への就職を制限するなど、韓国のライバル国は核心人材の流出を防ぐための障壁を高くしている。政府と企業が力を合わせて人材の海外流出を遮断するシステムを整えなければ、すでに多くの分野で中国に追い抜かれた先端産業の技術力を守ることはさらに難しくなる。