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帰って来たトランプ氏が半導体覇権まで握れば

帰って来たトランプ氏が半導体覇権まで握れば

Posted February. 28, 2024 08:37,   

Updated February. 28, 2024 08:37

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米国の半導体会社インテルが、「2030年にサムスンを抜いてファウンドリー(半導体受託生産)2位に浮上する」と豪語するのは、信じるところがあるからだ。おいしいご飯を炊くには良い炊飯器が必要であるように、先端2ナノ(1ナノメートルは10億分の1メートル)工程の半導体の量産に成功するには、オランダのASMLが作った次世代の「ハイニューメリカルアパーチャー(High NA)極紫外線露光装置(EUV)」装置が不可欠だ。問題は、この装置が年間20台しか生産されないということだ。

昨年12月にオランダを国賓訪問した尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子会長がASMLを訪問し、次世代EUVの確保に尽力したが、ASMLは米国を選択した。業界で初めてこの装置を手に入れたインテルは、年内に1.8ナノ工程の半導体を量産し、台湾のTSMCと韓国のサムスンのように2027年に1.4ナノ工程の半導体を量産するとして「チップ戦争(Chip War=半導体戦争)」を宣戦布告した。

インテルのパット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)が、「アジアが80%を占めた製造比重を欧米に50%持っていかなければならない」とし、「50年間、世界の政治は石油がどこから出るかに左右された。今は半導体が主役だ」と強調したのは、半導体が産業以上の意味があるということだ。半導体戦争をTSMC、インテル、サムスンなど企業間の対決と捉え、半導体支援を「大企業へのばらまき」と見る微視的な見方では、米国が法まで作って半導体投資企業に補助金を与え、日本がTSMCの2つの工場に10兆ウォン支援する意味を理解できない。

米国人は、新型コロナウイルス感染拡大の時、まともな衛生マスクを作る工場すらなく、100年前のスペイン風邪の時のようにスカーフなどで顔を覆って歩いた。自動車用半導体の供給網が乱れると、新車発売が遅れ、中古車価格が急騰するのを目の当たりにし、世界最強の米国のアキレス腱がどこにあるのか実感した。バイデン米大統領が、「21世紀の馬蹄形の釘」という半導体産業の再建を宣言した背景には、製造業の崩壊に対する米国人のトラウマとそれを克服しようとする強い願望がある。

米国はシェールガスのおかげで2018年、世界最大のエネルギー生産国になった。トランプ米大統領は19年、中東で緊張が高まると、「なぜ私たちが何の補償もなく、他国のために海上輸送路を保護しなければならないのか」と述べ、「米国が世界最大のエネルギー生産国になったため、そこにいる必要はない」と主張した。中東の石油依存度を下げる「エネルギー独立」を宣言し、「新孤立主義」の傾向を露骨に示したトランプ氏が再選し、半導体覇権まで握れば、はばかることなく米国「第一主義」の姿勢を見せかねない。

台湾では半導体を「シリコンの盾」と呼び、世界経済が台湾の半導体に依存している限り、中国の武力侵攻のような両岸対立を米国など西側世界が容認しないと信じている。米国も台湾に親中政権が誕生することを心配する。しかし、米国が半導体の独立に成功すれば状況は変わる。米国の「台湾計算法」が変わり、東アジアの安全保障情勢に変化が生じる可能性がある。

米国の保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」のジェームズ・カラファノ副会長は、東亜(トンア)日報の新年インタビューで、「米中対立は『象の戦い』の性格が強い。真ん中に挟まれた小さな国が『草』のように踏まれて死なないためには、草ではなく木にならなければならない。韓国はもっと大きな木にならなければならない」と述べた。チップ戦争時代に生き残るには、誰にも踏まれるような草になってはならない。半導体産業の競争力をより高め、韓米日半導体同盟もより強固にしなければならない。私たちは今、より大きな「半導体の木」を育てているだろうか。