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私たちの衣類に有害物質?食品のように成分表が必要かも

私たちの衣類に有害物質?食品のように成分表が必要かも

Posted February. 24, 2024 08:39,   

Updated February. 26, 2024 08:45

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「取扱許可なしに買える消費財の中で、最も複雑かつ多層的な『化学プロフィール』を持っている」

安全な服に関する情報を提供するウェブサイト「エコカルト(Echo Cult)」の編集長である著者は、ファッション製品についてこう語る。加工や織物、染色など製作の全過程で名前の分からない複雑な化学物質が多く入るという。気持ちよく開けた新しい服から出る強い薬品の匂いに顔をしかめた経験があれば、簡単に共感できるだろう。著者は、研究者やファッション専門家、乗務員、衣類工場の労働者など様々な人々に対してインタビューを行い、この本を書いた。

服に含まれる化学物質の有毒性は想像以上だ。食べ物や住居などあらゆる分野でウェルビーイングの風が吹いても、「安全な服」には依然として無関心な方だ。法によって厳格にカロリーと栄養成分を表記しなければならない食べ物と違って、服の成分は規制がおらず、製造会社や流通会社さえこれをきちんと把握できていないことが多い。服1着に多くは50種以上の化学物質が使われるが、この中にはホルモンをかく乱して癌と不妊を誘発する毒性物質もある。

米アラスカ航空の乗務員らが、服についた化学物質が有害だとし、2012年、集団訴訟を起こした事例もある。密閉された環境でユニフォームを常時着用する乗務員が、化学物質によって呼吸困難と発疹に苦しめられたという。しかし航空会社は、「個人が敏感なせいだ」と反論し、裁判所も、「有害性に関する明確な証拠がない」という理由で航空会社の肩を持った。

「服を食べるわけではないじゃないですか」。執拗に取材する著者に対し、ファッション会社の役員はこのように話した。しかし、米デューク大学の研究チームが幼い子供がいる124世帯のホコリを分析した結果、すべての家から合成繊維の染色に使われる「アゾ分散染料」が検出された。服についた染料が取れた後、空気中に漂い、呼吸器を通じて浸透できるというのが著者の主張だ。

服の化学物質のほかにも、勤務環境やストレスなど、現代人の病気の原因はさまざまだ。これによって、衣類の化学物質と健康の直接的因果関係を証明するための著者の実験精神も目立つ。インドのティルプル工場を直接訪問して服の製作過程を調査し、購入した製品をエコ認証機関「オコテックス」に任せて実験を行った。ピンクの人工皮革のミニスカートやネオンオレンジ色の半透明ハイヒールなど、様々な検査結果が本に盛り込まれている。

本を読んでいる間、1962年に発表されたレイチェル・カーソンの「沈黙の春」が思い浮かんだ。無分別な殺虫剤の使用が生態系に引き起こす問題を示したこの本は、出版当時、感傷主義という批判を受けたが、今は古典となっている。「死を着る」という多少誇張されたタイトルも、やはりいつかは当然の常識になるかも知れない。「模造品や知られていないブランドは避けろ」等、消費者が毒性物質がついた服を避けられる方法を紹介したチップも有用だ。


サ・ジウォン記者 4g1@donga.com