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合法の仮面をかぶった「破獄」、特別恩赦

合法の仮面をかぶった「破獄」、特別恩赦

Posted February. 20, 2024 08:43,   

Updated February. 20, 2024 08:43

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ドイツには絶対王政時代に「恩赦のない法律は違法」という法言があったという。法より上の存在であった絶対君主が、自分が下した罰を自ら取り下げる権限を持つのは当然のことだ。しかし、時代は変わって久しい。「法の下の平等」である世の中で、統治権者が恣意的に裁判の結果を変更できるというのは矛盾しているように見える。

にもかかわらず、恩赦権は韓国はもとよりほとんどの先進国に存在する。学界では、いわゆる「法治主義の自己矯正」という面に根拠を見出す。どんなに法律を緻密に作っても完璧ではないため、不合理な結果が発生したときに修正するための最後の装置ということだ。一種の「必要悪」である以上、誰が見ても納得できる場合に限り、極めて例外的に行使されなければならない。

しかし、現政権で実施される特赦は、このような原則とは程遠い。6日にあった旧正月の特赦を含め、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が就任してから2年足らずの間に4回の特赦が行われ、対象者は6千人を超える。捜査して起訴し、犯罪の代償を払わせるのが仕事である検察官出身者が要職に布陣して「検察共和国」と呼ばれる現政権で、特赦が頻繁に行われるのは意外だ。政府は、ほとんどが生計型犯罪や社会的弱者に配慮するための恩赦だと説明する。たとえそうだとしても、回数が多すぎるし、対象も過度だ。

より深刻な問題は、政治家や元高級公務員など、いわゆる「高位層」が明確な説明もなく次々に恩赦されていることだ。今回の特赦には、金淇春(キム・ギチュン)元大統領秘書室長や金寛鎮(キム・グァンジン)元国防部長官のほか、約10人の政治家と元公職者が含まれた。この中には巨額の違法政治資金を受け取った容疑で有罪判決を受けた元議員もいる。裏金を受け取って処罰された政治家に特恵を与えながら、政府は「対立の克服と和解による国民統合を図る」という大義名分で繕った。

過去の政府も大きな違いはない。民主化以降、盧泰愚(ノ・テウ)政権から文在寅(ムン・ジェイン)政権まで、正式な特赦は計41回行われた。年平均1.2回だ。これにより、特赦・減刑・復権された人は20万人を超える。大物政治家や元官僚は、「なぜ特赦を受けられなかったのか」が話題になるほど、恩赦が当然視される。特赦が「刑事司法のかんぬきを外す全能の破獄の道具」(李昇鎬・建国大学教授)に転落したという指摘まで出ている。

このように無分別な特赦が可能なのは「憲法上の大統領の固有の権限」という理由からだ。しかし、憲法には「法律が定めるところにより」大統領が恩赦を行うことになっており、学界では適正な範囲内で法律で恩赦権を制限することは違憲ではないという意見が多い。しかし、現行の恩赦法には特赦の手続きを規定しているだけで、基準や条件など実質的な内容はない。

1988年の第13代国会以降、恩赦法改正案は50件も提出された。特赦の手続きを強化し、対象を制限しようという内容が多数だ。汚職犯罪や選挙犯罪などは特赦から除外し、特赦前に大法院長(最高裁長官)の意見を聞くか国会に報告するという案、刑期の一定部分を服役しなければ恩赦の対象にならないようにする案など、様々な対策が提示された。しかし、ほとんどは議論されることなく廃案となり、可決された改正案は3件にすぎない。

このうち意味があるのは、2007年の改正で恩赦審査委員会を新設したことくらいだ。だが、それさえも恩赦審査委員会の審査結果には拘束力がなく、恩赦権を牽制するには力不足と指摘されている。乱発される恩赦は、司法正義の核心である公正性に対する信頼を根本的に揺るがす。これまで見てきたように、大統領自身が恩赦権を自制することを期待するのは難しい。今こそ、立法を通じて恩赦権の乱用にブレーキをかけなければならない。