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FDIが過去最大、投資障壁を崩さなければ「一時的好材料」にとどまる

FDIが過去最大、投資障壁を崩さなければ「一時的好材料」にとどまる

Posted June. 10, 2023 08:48,   

Updated June. 10, 2023 08:49

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今年、韓国に入ってきた外国人直接投資(FDI)の規模は、昨年同期より40%も伸びた。米国と中国の経済覇権戦争により、グローバル企業の投資戦略が「知経学リスク」を減らす方向に変わった影響だ。米国が主導する中国とサプライチェーンのデカップリング(関係断絶)のために、韓国経済は輸出減少など副作用を体験しているが、先端分野の主要企業を保有したおかげでやっと手にした反射利益だ。

今年に入ってから先月まで、政府に申告されたFDI投資額は107億3000万ドル、韓国ウォンで約14兆ウォンだ。1~5月基準で過去最大だ。FDIの85%が、外国企業が韓国に生産施設を作った「グリーンフィールド投資」だったが、これも62%伸びた。三星(サムスン)電子やSKハイニックスを主要顧客とするグローバル半導体装置・素材業者、LGエネルギーソリューション・SKオン・三星SDIを狙ったバッテリー原料・素材企業の投資が急速に増加した。米インフレ削減法(IRA)の施行で直接米国への輸出が難しくなった中国のバッテリー素材企業までが韓国に合弁企業を設立している。

韓国国内の設備投資が萎縮した中で流れ込んできた外国人投資は、韓国経済には干ばつ中の慈雨と同じだが、懸念されることは、増加傾向の持続は容易ではないという点だ。ライバル国がさまざまな支援策を打ち出して誘致に乗り出しているからだ。日本はグローバルファウンドリ1位の台湾TSMCの工場を誘致し、投資額の半分近くを補助金として支給し、再びTSMCと第2工場の建設交渉を進めている。欧州では、フランスが攻撃的な投資支援策を掲げてFDIを吸い込んでいる。

さらに、米国の「バイアメリカ」政策の圧迫の中で、韓国の大企業は100兆ウォンを越える対米投資を推進している。入ってくるよりもはるかに多くの投資が海外に流れる。そうしても、グローバルサプライチェーンが米・中の二大ブロックに割れれば、韓国企業の活動空間はむしろ狭くなる。

韓国としては、どちらの企業であれ、投資したい環境を作るのが最上の方策だ。しかし、外国企業が投資することを好む首都圏は、様々な規制に縛られている。経済協力開発機構(OECD)の加盟国の中で最下位の法人税競争力も問題だ。事業所での死亡事故が起きれば最高経営者(CEO)を刑事処罰する重大災害法は、外国人投資に大きな障害となる。高い投資障壁を急いで崩さなければ、せっかく伸びたFDIも「一時的好材料」で終わる可能性が高い。