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国際ピアノコン最年少優勝のイム・ユンチャン、「保育園などで条件なしに演奏することこそ偉大」

国際ピアノコン最年少優勝のイム・ユンチャン、「保育園などで条件なしに演奏することこそ偉大」

Posted November. 29, 2022 08:37,   

Updated November. 29, 2022 08:37

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「神がいて私に楽器を演奏できる機会が与えられたのなら、音楽会を見る機会がなかった方々に直接訪ねて音楽を分かち合うことこそ、『偉大な業績』だと思います。(私の演奏が)その方々が知らなかったまた別の宇宙を開いてあげられる過程かもしれないからです」

2022年のヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで史上最年少優勝を果たしたピアニストのイム・ユンチャン(18)が考えた音楽家の「偉大な業績」はこうだった。彼はコンクール優勝直後、「コンクール優勝による関心は3ヵ月間で、それほど大した業績だとは思わない」と話したことがある。

ソウル西大門区(ソデムング)の錦湖(クムホ)アートホール延世(ヨンセ)で28日に開かれた記者懇談会で、「偉大な業績は、コンクールに出て運良く1位になるのではなく、保育園やホスピス病棟、体の不自由な方々の学校を直接訪れ、何の条件もなく演奏することだ」とし、「私はすぐにそうするだろうし、私が望む偉大な業績を成し遂げるために努力している」と話した。

同日の懇談会は、イム・ユンチャンと光州(クァンジュ)市立交響楽団が共に作業した公演実況アルバム「ベートーヴェン、尹伊桑(ユン・イサン)、バーバー」の発売を機に開かれた。ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールでの優勝後、彼が出した初のアルバムだ。収録曲には、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」が含まれている。

「幼い頃から聞きすぎて、あの時の私の未熟な耳では(皇帝は)華やかに聞こえました。最近、人類が大きな試練に見舞われ、毎日部屋の中で一人で練習しながら「皇帝」を聞きました。ただ自由で華やかな曲ではなく、ベートーヴェンが夢見たユートピア、あるいはベートーヴェンが眺めた宇宙のような感じを受けました」

先月8日、統営(トンヨン)国際音楽堂で開かれた公演の実況を録音した今回のアルバムには、イム・ユンチャンと光州市響が共演したベートーヴェンの「皇帝」だけでなく光州市響が演奏した尹伊桑の「光州よ永遠に」、米国作曲家サミュエル・バーバー(1910~1981)の「弦楽のためのアダージョ」が含まれた。また、公演当時、イム・ユンチャンがアンコール曲として披露したスペインのフェデリコ・モンポウ(1893~1987)の「庭の少女たち」、ロシアのアレクサンドル・スクリャービン(1872~1915)の「2つの詩曲」のうち1番、「音楽手帳」も含まれた。

イム・ユンチャンは、「ソロではなく、立派なオーケストラと共に初めてのアルバムを出すことができて誇らしい。一人だったらできなかった音楽的な部分を埋めてくれた」と話した。続けて「スタジオ録音は、ややもするとあまりにも完璧にしようという圧迫のために、むしろ音楽が数多くの可能性を失うことになる。観客と音楽を一緒に分かち合う時間が、アルバムとして出るということが素晴らしい意味がある」と話した。


李知訓 easyhoon@donga.com