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33年ぶりに守った約束

Posted October. 12, 2022 08:30,   

Updated October. 12, 2022 08:30

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限りなく純粋な人々がいる。その純粋さで暗い世界を少しは明るくする人々がいる。2021年にブッカー賞を受賞した南アフリカの作家デイモン・ガルグートの『約束』は、そのような人についての話だ。

アモールという人物がそうだ。彼女は農場に暮らすスウォート家の末娘。死が迫る妻が夫に頼む。生涯自分に仕えただけでなく、癌になって死が迫る自分の看病をしてくれた黒人の使用人サロメに今住んでいる家を渡してほしいという頼みだ。夫はそうすると言った。

しかし、アモールの父親は、母親が死んでも約束を守らない。サロメに家を与えることは話にならず、どうせ黒人が家を所有することは違法だということだ。父親は、アモールが母親の遺言であると言っても聞き入れない。父が守らなければ息子でも守らなければならないが、息子も同じだ。そうすべきだと思っていながら守らない。そうして歳月が流れ、父も死に息子も死に、長女も死ぬ。看護師となって別の都市でエイズ患者の看病をするアモールだけが残った。アモールはついに母親の約束を守ることができるようになる。それまでに33年という時間が経った。雨が降ると、屋根から雨漏りする荒れた家を渡すのにそれほど長い年月がかかったのだ。アモールが抱く申し訳ない思いは言い尽くせない。ところがアモールは、家だけではなく自分に残されたすべての現金までサロメに与えることを決める。アモールはこれまでそうだったように死が迫る患者をケアする看護師として生きるだろう。

何がアモールを他の家族と違う行動をさせるのか。自分のものまで全て渡し、患者に献身するという心はどうやって生まれるのだろうか。何がアモールを倫理的な存在にするのか。それはわからない。アモールの利他的な行為は、魂の深いところから自然に湧き出てくるのかもしれない。そのように世の中を少しは明るく、生きる価値のある場所にする人々がいる。世界が美しい理由だ。