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多国籍企業100社は「稼いだ国に納税」、米が国際社会に提案

多国籍企業100社は「稼いだ国に納税」、米が国際社会に提案

Posted April. 10, 2021 08:04,   

Updated April. 10, 2021 08:04

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「グローバル法人税の協調」に乗り出した米政府が、世界100余りの多国籍企業に対して、売上が実際発生した国に税金を納付させる案を国際社会に提案した。本社所在地の国に税金を納める既存の法人税体系を揺るがすことであるため、協議の過程で税金賦課対象と納付方法などをめぐって難航が予想される。米国や欧州など、大規模な市場を保有している国々が売上発生地域を基準に法人税賦課に乗り出せば、海外売上の多い三星(サムスン)電子や現代(ヒョンデ)自動車などの韓国大企業も影響を受けるものと見られる。

9日、企画財政部(企財部)によると、米国は8日(現地時間)、経済協力開発機構(OECD)の包括的履行体系(IF)会議で、このような提案を盛り込んだ文書を各国に伝えた。OECD・IFは、多国籍企業の租税回避を防ぐためのグローバル租税制度を議論するための会議体で、約140カ国が参加している。現在、OECDのIFでは、多国籍企業が海外で稼ぐ売上に課す税金を強化する案(ピラー1)と、グローバル法人税率下限制(ピラー2)の2つの案件を議論している。

米国側が渡した文書には、企業の業種や本社の位置と関係なく、いったん100の多国籍企業に限って、実際の売上が発生する国に法人税を納付させるという提案が盛り込まれている。米国は100社の企業を特定してはいない。現在、グローバル法人税を巡る議論は、欧州がグーグルやフェイスブック、アマゾンなど、米情報技術(IT)企業に焦点を合わせて議論を主導している。

自国のIT企業に対する差別的課税に反対してきた米国の今回の提案は、産業分野を限定しないという点で違いがある。一部の多国籍企業が、米国などの主要市場で金を稼ぎながらも、税金逃れのため、本社は法人税のないバージン諸島のような地域に置くやり方の租税回避を食い止めるための国際協力を提案したのだ。逆に、米国に本社を置き、欧州やアジアなどで膨大な収益を上げているグーグルなどへの米国以外の国の課税権限が強化される側面もある。

専門家らは、米国の提案通り、100社が法人税を売上発生国に納めることになれば、国内大手企業や国内に進出した外国大手企業にも影響が出るだろうと見ている。ソウル大学経済学部のキム・ソヨン教授は、「三星電子や現代自動車など、国内主要企業の税負担が増えることもありうる 一方、外国のグローバル企業が韓国に支払う税金が増加する可能性もある」と語った。

企財部の関係者は、「多国籍企業の法人税納付とグローバル法人税率の下限線は対象業種、売上高、所得認定方式など議論する争点が多い」と話した。OECD・IFは、今年7月に合意案を導き出すことを目指している。


世宗市=ナム・ゴンウ記者 woo@donga.com