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人口と気候変動

Posted April. 04, 2020 08:56,   

Updated April. 04, 2020 08:56

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「子どもの泣き声より大きくなった嘆きの声・・・3ヵ月連続、人口の自然減少」。先月のあるメディアの報道のタイトルだ。統計庁が2020年1月に人口動向を発表したが、韓国の出生数が50ヵ月連続減っているという。一方、死亡者は過去2番目に多かった。これを受けて統計庁は、「今年、年間で初めて人口が自然減少する恐れがある」と指摘する。韓国は現在、出産率が世界で最も低い。ところで時々、突拍子もない考えが頭をよぎる。果たして子どもを多く産むことはただ良いことだろうか。

数年前に韓国で上映された映画「ギングスマン」は、二酸化炭素の増加で気候変動が深刻化するという背景がある。気候変動は、スーパー台風、干ばつ、洪水などの気象災害や食糧難、感染症の流布、深刻な環境破壊を招く。この映画に出てくる悪党「ヴァレンタイン」は、気候変動を防ぐために人を大量にいなくならせるという計画を立てる。ところで、気がかりなことがある。映画のように人を大量に殺せば、二酸化炭素は減少して気候変動の危険は減るのか。理論的には「そう」だ。人類の歴史の中で二酸化炭素の濃度が最も低かったのが、ジンギスカンの征服戦争と14世紀のペストの時だ。当時、多くの人が死に、二酸化炭素の濃度が低くなった。

「気候と環境の変化で、数億人が干ばつと洪水、深刻な暑さと貧困の危険に陥る恐れがあり、災害的な気候変動を阻止できる期間は11年しか残っていない」。2018年、国連傘下「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が公開した報告書の内容だ。この報告書を見て、出産を拒否する運動を決心した女性がいる。英国で「出産スト(Birth Strike)」運動を行う社会活動家ブライス・ペピーノだ。「今は気候非常事態だ。深刻な気候変動による生活苦の環境を次世代に与えたくない。災害直前の世界に子どもを産んで育てることがどれほど誤ったことか」とし、出産スト運動を始めた理由を明らかにした。

「気候変動で滅亡の道に入った地球を救うには、女性1人当たり0.5人の子どもを産む水準に出産率を下げなければならない」と米ジョンズ・ホプキンズ大学のトレビス教授は主張する。彼は、気候変動で今世紀末までに地球の平均気温が4度以上上がれば、人間が生きられない環境になると考える。それでも人々は大型自動車、高級な食べ物、衣服などを持つために、炭素の排出を減らす考えがないということだ。そのためトレビス氏は、最後の手段として人を減らす方法を使おうと主張する。人口を減らすことこそ最も効果が大きく、比較的容易な二酸化炭素低減方法ということだ。「新再生エネルギー、電気自動車、炭素低減イノベーションなどのすべての方法を使っても、米国民1人が生涯で減らすことができる二酸化炭素の総量は488トン。しかし、子ども1人を産まなければ、9441トン減らすことがでる」。「人ひとり産まないことが何と20倍も二酸化炭素の発生を減らすことができるのだ。筆者は、ペピーノやトレビス氏の言葉に理論的には同感する。にもかかわらず、私は媒酌に立つたびに、新婚夫婦に子どもを2人以上産むよう勧める。このままでは韓国人が地球から消えるのか心配になるからだ。


李恩澤 nabi@donga.com