
中東の主要な原油輸送路であるホルムズ海峡の航行を巡って対立する米国とイランが、今週に入って3度目となる空爆の応酬を繰り広げた。トランプ米大統領が11日に「停戦終了」を宣言すると、イランはホルムズ海峡内の商船を攻撃し、海峡の再封鎖を発表した。これを受け、米国は12日、イラン南部の主要軍事目標約140カ所を攻撃し、イランもクウェート、バーレーン、カタール、ヨルダンなど中東各地の米軍基地に反撃を加えた。
ホルムズ海峡の制海権を巡る両国の主導権争いが軍事衝突の拡大につながり、今後の交渉にも暗雲が立ち込めている。ただ、大規模な戦闘への発展は双方にとって負担が大きいことから、武力衝突が続く中でも、水面下では対話再開に向けた動きが進められている。
●トランプ氏暗殺計画の情報、武力衝突に油注ぐ
イラン革命防衛隊は12日の声明で、「許可を受けていない違法航路を航行した船舶1隻に警告射撃を行った」とし、米国がホルムズ海峡への介入を終えるまで、海峡を再び封鎖すると明らかにした。中東を管轄する米中央軍は、この船舶はイランの攻撃による火災でエンジンが大きく損傷し、航行不能となったほか、乗組員1人が行方不明になったと明らかにした。
イランの発表直後、米中央軍はイランのミサイル・ドローン基地、戦闘機、海軍施設、弾薬庫、通信施設、沿岸監視施設など約140カ所の軍事目標を攻撃したと発表した。ロイター通信は、ホルムズ海峡のゲシュム島、イラン最大の製油施設がある南部アサルイェ、商業用原子力発電所があるブーシェフル近郊、港湾都市バンダルアッバースなども空爆を受けたと伝えた。先週2度にわたって行われた空爆より攻撃範囲が拡大し、イランが敏感に反応する製油施設や原発周辺の目標も攻撃することで圧力を強めたとみられる。
イランも同日、直ちに反撃に乗り出した。イラン国営プレスTVなどによると、イランはヨルダン、クウェート、バーレーン、カタールなど中東各地の米軍基地に報復攻撃を加えた。イラン革命防衛隊は、ヨルダンのプリンス・ハッサン空軍基地内にある米軍の指揮統制施設とMQ9ドローン格納庫をミサイルで破壊したと主張した。また、ドローンでクウェート駐留米軍基地のパトリオット防空システム1基と弾薬庫、レーダー施設を攻撃し、バーレーンに駐留する米海軍第5艦隊の通信レーダー施設も攻撃したと発表した。プレスTVは、イラン軍がホルムズ海峡の通航規則に違反した2隻目の船舶も攻撃し、航行不能にしたと報じた。両国は先月14日に戦闘終結に向けた覚書(MOU)を締結した後も、先月26日に続き今月8日にも空爆を応酬した。
トランプ氏暗殺計画の情報も、双方の武力衝突に油を注いでいる。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、イスラエルが最近、イランによるトランプ氏暗殺計画に関する情報を米国へ伝えたと報じた。トランプ氏は10日、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に「1千発のミサイルが装填され、イランに照準を合わせている」と投稿し、「イラン政府が私を暗殺する、あるいは暗殺を試みれば、直ちにさらに数千発を発射する」と警告した。
これに対抗するように、イランの最高指導者であるモジタバ師は11日、「(父アリ・ハメネイ師への)報復は国民の要求であり、必ず実行される」と述べた。
●アクシオス「来週スイスで対話再開」
ただ、米国とイランの武力衝突が再び全面戦争へ発展する可能性は低いとの見方が出ている。トランプ氏は11月の中間選挙を控え、戦闘拡大による原油価格の上昇などを懸念している。イランも慢性的な経済危機が戦争でさらに深刻化しており、衝突を長期化させる余力はない。
米政治メディア「アクシオス」が10日に伝えたところによると、米国とイランはサウジアラビア、カタール、オマーン、パキスタンなどの仲裁国を通じて事態の収拾を図っている。武力衝突が続く中でも、双方は対話再開を模索しているとみられる。トランプ氏は同日、サウジアラビアのサルマン皇太子と電話会談を行った。一方、イランの穏健派とされるペゼシュキアン大統領は、パキスタンのシャリフ首相と電話で地域の緊張緩和策を協議した。
一方、アクシオスは、来週スイスで米国とイランの追加協議が開かれる可能性があると報じた。イランのアラグチ外相は11日、「MOUを双方が順守することだけが唯一の解決策だ」と述べ、対話再開への意欲を示した。トランプ氏も停戦終了を表明する一方で、イランからの対話要請については「同意した」と明らかにした。
柳根亨 noel@donga.com






