まだ「苗木」だったころ、NVIDIAのジェンセン・ファン最高経営責任者(CEO)にとって韓国は主要顧客だった。創業初期の1990年代、自社のグラフィックカードをPRするために龍山(ヨンサン)電子商店街を何度も訪れたというエピソードは有名だ。人工知能(AI)の「大物」として大きく成長した後は韓国を訪れなかったファンCEOが、15年ぶりに韓国にやって来る。28〜31日に慶州(キョンジュ)で開かれる「アジア太平洋経済協力会議(APEC)CEOサミット」に出席するためだ。
APEC首脳会議の付属行事として行われるCEOサミットには、AI・エネルギー・モビリティ・バイオ・金融などのグローバル企業人1700人余りが参加する。最も注目される人物はやはりファンCEOで、31日の基調講演と懇談会を通じてNVIDIAのビジョンを共有する予定だ。李在鎔(イ・ジェヨン)三星電子(サムスン)会長、崔泰源(チェ・テウォン)SKグループ会長と会い、広帯域メモリー(HBM)の供給やAI協力の強化について議論するかも注目される。
ファンCEO以外にも、世界的なテクノロジー企業の大物たちも勢ぞろいする。700兆ウォン規模のAIインフラ構築事業「スターゲート・プロジェクト」を主導する孫正義ソフトバンクグループ会長やオープンAIのサム・アルトマンCEOの出席も予想されている。アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のマット・ガーマンCEOをはじめ、グーグル、メタ、マイクロソフトなど巨大IT企業の幹部も韓国訪問を確定した。シティグループ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、CATL、シノケム、日立などのグローバル企業のCEO、国際通貨基金(IMF)のクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事など国際機関の関係者も慶州に集結する。
CEOサミットは、韓国企業にとって絶好の広報舞台となると期待される。 開催期間中の「フューチャーテックフォーラム」を通じて、AI、造船・防衛、エネルギーなど韓国の主要産業の競争力を紹介する予定だ。三星電子が二つ折りの「トライフォールド」スマートフォンを世界初公開するなど、韓国の技術力も世界に示される。グローバルCEOや首脳との1対1の会談を通じて、投資・協力の機会を模索することもできる。
20年前の釜山(プサン)APEC首脳会議を通じて、韓国は金融危機を克服し、情報技術(IT)強国として世界経済の舞台に成功裏に復帰したことを宣言した。慶州APEC会議では、国政の混乱を安定的に収拾した韓国が、AIなどの先端技術や韓流などのソフトパワーで世界のトップクラスに成長したことを示す必要がある。今回の会議の経済効果は約7兆4000億ウォン、雇用創出は2万2000人に達すると予想される。経済国格を高める歴史的転換点となるよう、官民が一丸となって最後まで準備に全力を尽くすべきである。
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