Go to contents

世宗が作ったが楽譜でのみ伝承された舞踊音楽、AIで蘇る

世宗が作ったが楽譜でのみ伝承された舞踊音楽、AIで蘇る

Posted June. 10, 2024 09:05,   

Updated June. 10, 2024 09:05

한국어

執拍(拍を執る人)がきれいな拍の音を鳴らすと、牙箏(アジェン)の壮大な旋律と震えが始まった。国立国楽院の正楽団17人がそれぞれ琴、笛、鼓などで味のあるシギムセ(装飾音)と拍子を加え、長い間消えていた宮廷音楽を再び世に送り出した。人工知能(AI)の助けがあったからだ。

生成型AIで復元した15世紀の宮廷音楽「致和平」と「醉豊亨」が2日、ソウル瑞草区(ソチョク)の国立国楽院の風流舍廊房で公演された。世宗(セジョン)が創始した舞踊音楽「鳳來儀」のうち、與民楽は16世紀以降、民間を通じて伝承されてきたが、残りの2曲(致和平、醉豊亨)は楽譜のみで伝えられてきた。そこで、進化アルゴリズムとディープラーニングというAI技術で2曲を復元した。

今回の公演は、国立国楽院とAI音楽専門企業であるクリエイティブマインド、西江(ソガン)大学アート・アンド・テクノロジー学科が約1年間共同で企画・研究した結果、実現した。クリエイティブマインドが開発した進化アルゴリズムは、「与民楽の琴の楽譜をもとに、琴と他の楽器の旋律規則を分析し、致和平と醉豊亨型の合奏旋律を導き出した。西江大学アート・アンド・テクノロジー学科のディープラーニング技術は、正楽譜収録曲85曲に対する楽器別の井間譜(音の長さと高さを表示した朝鮮時代の楽譜)データをAIに学習させた後、致和平・醉豊亨の笛、琴などの旋律を完成させた。

これまでAIの助けなしに古音楽を復元しようとする努力には限界があった。朝鮮時代の楽譜には速さや基準音など、実際の演奏に必要な要素が記録されていないからだ。国立国楽院のパク・ジョンギョン学芸研究官は、「人が復元した古楽演奏は主観的だという批判を受けた」とし、「一方、データにもとづいたAIは客観性を確保することができる。調声の変更のように、人が数ヵ月かかる作業をAIはたった一日で行うことができる」と説明した。

2つのAI技術はそれぞれ異なる音楽を生み出した。ディープラーニングで復元された演奏が進化アルゴリズム方式より完成度が高く、演奏者の事後補正作業が少なくて済んだ。これは、進化アルゴリズムの方式が西洋の楽譜に基づいているのに対し、ディープラーニングは光学認識技術で井間譜を丸ごと認識し、国楽の音階により近づいたことによる。琴演奏者の高甫錫(コ・ボソク)氏は、「進化アルゴリズム方式は音域と奏法でややぎこちなさがあり、音域を調整し、シギムセと大点(琴を弾く奏法)を追加して演奏した」と話した。

AI復元技術は、今後、高麗歌謡など楽譜だけ残っている古音楽を国楽公演のレパートリーとして演奏できる可能性を示している。西江大学アート・アンド・テクノロジー学科のチョン・ダサム教授は、「AIは全く新しい曲を創作するのではなく、規則と分布に合った音を埋める作業に特化している。既存の枠組みを踏襲しながらも新しい曲を作り、国楽のレパートリーを広げることができる」と話した。シム・ヨンソプ国楽作曲家は、「韓国音楽を数学的に表現する文法を開発することで、国楽の多様化に貢献するだろう」と展望した。


イ・ジユン記者 leemail@donga.com