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受け取れなかった保険金が「数兆ウォン」、実損保険請求の簡素化は14年間進展なし

受け取れなかった保険金が「数兆ウォン」、実損保険請求の簡素化は14年間進展なし

Posted September. 20, 2023 09:21,   

Updated September. 20, 2023 09:21

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国民健康保険は、病院で診療さえ受ければ保険金が自動的に請求される。しかし、4000万人が加入して「第2の健康保険」と呼ばれる実損医療保険の加入者は、いちいち紙書類を用意しなければならない。病院を直接訪問して領収書と診断書、診療費の詳細内訳書などを受け取った後、保険会社にファックスや郵便で送らなければならない。書類を洩らして病院を再び訪れることも多い。モバイルアプリもあるが、紙の書類を写真で撮って送信する方法しかない。スマートフォンですべてのことを行うデジタル時代に、紙書類を通じた保険金請求が年間1億件も行われるので、大変な浪費と言わざるを得ない。

金融消費者連盟などの消費者団体のアンケートによると、手続きが煩わしく保険金を請求しなかった経験のある人が半分に近い。2021年から今年までの3年間、加入者が請求しなかった実損保険金は8282億ウォンに達するものと試算される。このような不便と浪費を防ぐために、「実損保険請求簡素化法(保険業法一部改正案)」が推進されてきたが、国会で漂流している。今年6月、常任委員会の敷居を越えたが、今回は法制司法委員会でブレーキがかかった。与野党の激しい政争の中、年を越す可能性もあるという懸念が高まっている。

実損保険の請求を簡素化してほしいという要求は、かなり前から着実に提起されてきた。国家的浪費が激しいとして、国民権益委員会が改善を勧告したのがすでに2009年のことだ。前回の大統領選挙の過程では、与野党の候補共に公約に掲げた。昨年、大統領職引継ぎ委員会が行った国民向けのアンケートでは、新政権が真っ先に実施しなければならない生活密着型課題の1順位に挙げられた。このような状況で、国会が医療界などの顔色を伺いながら法案処理を先送りするのは、深刻な職務遺棄だ。

医療界は、同法は医療情報の閲覧と提供を厳しく制限する医療法などと衝突すると反対している。しかし、電算化をしても患者の要請と同意が必要であり、保健福祉部と法制処などで問題がないと解釈している。医療界は、敏感な個人情報の流出の可能性も提起しているが、紙の書類を電算文書に変えたからといって流出の懸念が高まるとは言い難い。民間保険会社の営利目的に利用されないよう中間情報処理機関を置き、情報を保存できないようにする補完策も法案に用意されている。

14年間、国会が立法を知らないふりをして国民の懐から抜け出した保険金は、単純計算でも3兆ウォンを超える。これ以上国民の不便と損害を放っておいてはならない。問題があれば、下位法令と法施行の過程で補完すれば良い。