Go to contents

ファーウェイの5世代スマホの半導体技術、その虚勢と革新の間

ファーウェイの5世代スマホの半導体技術、その虚勢と革新の間

Posted September. 12, 2023 08:37,   

Updated September. 12, 2023 08:37

한국어

米国の半導体輸出規制を突破して作られた中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の新5世代(5G)スマートフォン「Mate 60 +」以降、世界はパズルのピースを合わせている最中だ。ファーウェイの技術が虚勢なのか革新なのか、その間にある真実を探すため、米商務省は調査に入り、世界の半導体企業や金融投資家もそれぞれ分析に乗り出した。

ファーウェイが設計し、中国のファウンドリ(半導体委託生産)企業SMICが作った7ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)プロセスの半導体チップ。中国の半導体設計、装備、ファウンドリという3拍子、つまり生態系が成長した証拠として注目された。3ナノの量産競争中の1位のTSMCや2位のサムスン電子のレベルに比べれば、5年余り遅れた技術だ。しかし、欧米の半導体生態系から孤立して自力で量産を成功させるのは容易ではないという予想を破ったという点で共感が集まっている。テックインサイトという分析会社がこのスマートフォンを分解して7ナノチップが含まれていることを確認した。

しかし、独自技術かどうかはまだ疑問だ。ファーウェイがこのスマートフォン販売をホームページに公開する数日前、米ブルームバーグ通信は情報筋を引用し、米半導体産業協会(SIA)が会員企業にファーウェイ関連の注意を促す警告文を送ったと報じた。2019年、トランプ米政権の制裁対象になった後、米企業との取り引きが遮断されたファーウェイが、他の企業の後ろに隠れて中国内の半導体工場2ヵ所を買収し、3ヵ所を設立しようとしているという内容だった。これが実現する場合、ファーウェイは他の企業名で密かに買収した工場を通じて米国の半導体装備を購入することができる。

果たして収率(欠陥のない合格品の割合)を高めて大規模量産体制を整えたかどうかはさらなる疑問点だ。中国政府の莫大な補助金なしで市場競争力のある収率を達成したのか、米ウォール街でも懐疑的な反応が出ている。さらに、SMICが7ナノプロセスの半導体生産に使用したと推定されるオランダ企業ASMLの深紫外線(DUV)露光装置は、今月から事実上、中国への輸出が禁止される。中国の自負心とは別に、今後の苦悩が小さくないという意味だ。これまでの韓国や台湾の半導体技術との格差はさらに広がる可能性がある。

しかし、油断は禁物だ。技術市場では不可能と思われることが特定の状況と重なり、業界のトップが入れ替わることは日常茶飯事だ。1982年、サムスンを創業した故・李秉喆(イ・ビョンチョル)会長が半導体市場に進出すると表明した「東京宣言」当時、インテルや世間は誇大妄想だと笑った。しかし、企業の命運をかけた投資と開発者の情熱、さらに日米半導体対立という特殊な状況が重なり、韓国は半導体強国に躍進するきっかけを得た。

先月、台湾TSMCの創業者モリス・チャン氏の米紙ニューヨーク・タイムズのインタビューでも、このような飛躍の瞬間を読み取ることができた。TSMCは、半導体強者であるサムスンとインテルを超えるという夢を抱いてきたという。しかし、2009年、退いたチャン氏の家の前に、解雇された従業員たちが「嘘つき」と書かれたプラカードを持って集まるなど辛い時期があった。チャン氏は現業に復帰し、投資家の反発にもかかわらず、従業員を再雇用し、時を待った。2010年、アップルから連絡があった。世界で最も重要な半導体企業に属することになったTSMC神話の始まりだった。

技術産業では、一瞬にして市場の勢力図が変わる。誰でも虚勢から革新に踏み出すことができることを肝に銘じなければならない。米中対立がどこに飛び火するか分からない不確実な世界で、傲慢は捨てなければならない。