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遅れた正義は正義ではない

Posted September. 01, 2023 08:33,   

Updated September. 01, 2023 08:33

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韓国憲法第27条第3項は、「すべての国民は、迅速な裁判を受ける権利を有する」とした。裁判が長くなると費用など訴訟当事者の負担が大きくなり、犯罪被害者の救済も遅れるため、裁判所に「迅速に裁判を行う義務」を付与したのだ。

迅速裁判義務を具体的に規定した法律もいくつかある。まず、民事訴訟法は提訴から5ヵ月以内に判決を下すよう定めている。1981年に施行された「訴訟促進等に関する特例法」によると、刑事訴訟の1審は起訴日から6ヵ月以内、控訴審と上告審は裁判所が記録を送付された日から4ヵ月以内に宣告しなければならない。

しかし、司法現場ではこれらの規定が長い間死文化され、裁判が遅延されてきた。判事が裁判をゆっくり進めても、特別な制裁ができないからだ。ほとんどが宣言的な規定であるため、原告と被告人は迅速な裁判を強制する権利も、裁判の遅延の補償を受ける方法もない。憲法裁判所でさえ、99年の民事訴訟法の5ヵ月判決条項を強制性のない「訓示規定」と判断した。

刑事訴訟法には、「判決の宣告は、弁論を終結した期日にしなければならない。ただし、特別の事情があるときは、別に判決期日を指定することができる」(第318条の4)という条項もある。「即日宣告」の原則を盛り込んだ条項で、弁論終結と検察の求刑が行われる結審公判の時に判決まで下すという趣旨だ。即日宣告をする時は、有無罪と量刑だけを宣告し、判決文は後で作成してもよい。

しかし、即日宣告の原則もほとんど実施されていない。別途期日を設けて判決することを刑事訴訟法は「特別な事情」に限定したが、現場ではいつの間にか慣習のように定着した。裁判所行政処の司法年鑑によると、2021年の1審判決の被告人23万3490人のうち、即時宣告を受けたのは1万1202人にすぎなかった。被告人100人のうち5人程度だけ即時宣告を受けたのだ。

金命洙(キム・ミョンス)大法院長(最高裁判所長官)が17年に就任した後、裁判の遅延はさらに深刻化した。高等裁判所部長判事の廃止などいわゆる「司法民主化」を推進したことで、判事に動機を与える要因がなくなり、有能な法官が次々に去ったためだ。民事合議部の1審処理期間は14年の252.3日から21年には364.1日に増え、1年以上の未解決の事件は12万件(21年基準)に迫る。裁判所長が、「司法行政権の濫用」という批判を懸念して裁判の遅延を是正できなかったほか、判事の間で「ワーク・ライフ・バランス」文化が広がったことも裁判遅延の原因と指摘されている。

「金命洙体制」の副作用のため、裁判遅延問題はさらに深刻化した。ただ、大法院長が代わっても、今のように迅速な裁判を強制する法がなければ、裁判のスピードが劇的に速くなることは難しいだろう。李均龍(イ・ギュンヨン)大法院候補も、ドイツや日本のように裁判の遅延を規制する立法が必要だと周囲に話していたという。「遅れた正義は正義ではない」という法言があるように、迅速な裁判は憲法が保障した国民の基本権だ。政府と国会も次期大法院長と協力し、迅速裁判関連の立法を積極的に推進しなければならない。